成長戦略の「羅針盤」となるか、デジタル庁の新たな一歩
デジタル庁が2025年度の経済・財政・産業・デジタル分野における基本施策をまとめた。未来への投資を加速させ、持続的な成長軌道に乗せるための、いわば「羅針盤」ともいうべき指針が示された格好だ。世界は今、激動の時代を迎えている。技術革新は日進月歩であり、社会構造も大きく変化している。こうした中で、国家としての競争力を維持・強化し、国民一人ひとりが豊かさを実感できる社会を築いていくためには、明確なビジョンと、それを実現するための具体的な施策が不可欠となる。
今回の基本施策では、特にデジタル化の推進が重点項目として掲げられている。 pandemiaを経て、私たちの生活や働き方は大きく変わり、デジタル技術の浸透は不可逆的なものとなった。行政サービスのオンライン化はもちろんのこと、産業のDX（デジタルトランスフォーメーション）を加速させ、新たなビジネスモデルの創出や生産性向上を図ることは、喫緊の課題である。また、データ活用による社会課題の解決や、国民一人ひとりがデジタル技術の恩恵を享受できる環境整備も、避けては通れない道だろう。
しかし、デジタル化の推進は、単に技術を導入すれば良いというものではない。その恩恵が一部の層に偏ることなく、広く国民に行き渡るように配慮が必要だ。デジタルデバイド（情報格差）の解消に向けた取り組みや、高齢者をはじめとするデジタルに不慣れな人々への丁寧なサポート体制の構築は、デジタル庁が果たすべき重要な役割の一つと言える。また、サイバーセキュリティの強化や個人情報保護といった、デジタル化に伴うリスクへの対策も、国民の信頼を得る上で不可欠な要素である。
経済・財政・産業といった、いわゆる「リアル」な分野との連携も、成功の鍵を握る。デジタル技術はあくまで手段であり、その目的は、経済の活性化、財政の健全化、そして国民生活の向上にある。デジタル化の推進が、これらの根本的な目標達成にどう貢献するのか。その道筋を明確に示し、国民に理解と共感を広げていくことが重要だ。
今回の基本施策が、絵に描いた餅で終わることなく、着実に実行され、我が国の未来を切り拓く力となることを期待したい。そのためには、デジタル庁だけでなく、関係省庁、産業界、そして国民一人ひとりの協力と努力が不可欠である。変化を恐れず、しかし足元をしっかりと見据えながら、デジタル化という強力な「追い風」を最大限に活かしていくことこそ、今、私たちに求められていることなのだろう。
フランス経済・財務・工業・デジタル主権省、2025年3月27日付、署名委任に関する決定（No. 2025-25）を発表,economie.gouv.fr
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