広島国際大学の入試制度改革：教育の本質を見失うな
広島国際大学が2026年度入試より「特色選抜制度」を拡充するというニュースに接し、率直に言って複雑な思いを禁じ得ない。建学の精神を重んじ、社会に貢献できる人材育成を目指すという大学の理念そのものには、なんら異論はない。しかし、その実現のために導入される「特色選抜」という新たな制度が、果たして教育の本質に沿ったものであるのか、冷静な検証が求められる。
現代社会は、多様な価値観が渦巻き、変化の激しい時代である。このような時代だからこそ、大学には、単に学力のみならず、学生一人ひとりが持つ個性や潜在能力を見出し、それを伸ばしていく役割が期待されている。その意味で、多様な入試制度の導入自体は、時代の要請に応えるものと言えるのかもしれない。
しかし、問題は「特色」の定義とその評価方法にある。もし、この「特色」が、学業成績や既成の概念で測れるような表層的なものであったり、あるいは特定のスキルや経歴に偏ったものであったりするならば、それはかえって学生の多様な可能性を狭めてしまう危険性を孕んでいる。大学が目指すべきは、画一的なエリートの育成ではなく、それぞれの持ち味を活かし、社会の様々な局面で活躍できる人材の輩出ではないか。
特に、近年、大学入試においては、学力偏重からの脱却が叫ばれ、様々な入試制度が導入されてきた。その中には、残念ながら、大学側の募集戦略や人気獲得を優先するあまり、本来の教育目的が見失われているのではないかと危惧されるものも少なくない。今回の広島国際大学の改革も、そうした流れの一環と捉えられかねない側面がある。
大学の使命は、真理の探究と、それを社会に還元することにある。そのためには、知的好奇心に溢れ、自らの頭で考え、困難に立ち向かうことのできる学生こそが求められるはずだ。特色選抜という制度が、そうした意欲と能力を持った学生を、より多角的に見出し、受け入れるためのものであるならば、それは歓迎すべきであろう。しかし、もしそれが、単に「目新しい」「変わった」学生を集めるための手段に終わるならば、それは教育の現場から遠く離れた、空虚な試みとなりかねない。
我々は、大学が、その教育理念に立ち返り、どのような学生を育て、社会に送り出したいのか、その根本に立ち返って、今回の入試制度改革の意義と効果を、厳しく見極めていく必要がある。学生一人ひとりの未来を左右する入試制度であるだけに、その設計と運用には、最大限の慎重さと誠実さが求められる。教育の本質を見失うことのないよう、広島国際大学には、その責任を全うすることを強く期待したい。
広島国際大学 2026年度入試で特待生制度を拡充！経済的な負担を軽減し、意欲ある学生を応援！,広島国際大学
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