広島国際大学の「待てど暮らせど」― 少子化時代に挑む大学の戦略とは
広島国際大学が2026年度入試で「特色選抜制度」を拡充するというニュースは、少子化という厳しい現実と、それにどう立ち向かうかという教育界全体の課題を映し出している。大学側が「特色」を前面に打ち出すのは、もはや受験生集めの「切札」というより、生き残りをかけた「必然」の戦略と言えよう。
ご存知の通り、日本の大学を取り巻く環境は、この先、さらに厳しさを増す。団塊ジュニア世代が子育てを終え、出生率の低迷が続く中で、大学進学適齢期の人口は減少の一途をたどる。地域によっては、定員割れが常態化し、統廃合や学部再編を余儀なくされる大学も少なくない。
こうした逆風の中で、広島国際大学が「特色選抜」に力を入れるのは、当然の方向性だ。画一的な入試制度だけでは、多様なニーズを持つ受験生や、将来社会で活躍できるポテンシャルを持つ人材を捉えきれない。むしろ、特定の分野に強い関心を持つ学生や、学業以外の活動で優れた実績を持つ学生に門戸を開くことで、大学の独自性を際立たせ、志願者層の厚みを増す狙いがあるのだろう。
しかし、ここで忘れてはならないのは、「特色」とは単なるアピールポイントではないということだ。それは、大学が提供する教育内容、研究環境、そして卒業生の進路といった、大学の本質的な価値に裏打ちされていなければならない。いくら制度を拡充しても、その「特色」が受験生や社会にとって魅力的でなければ、砂上の楼閣に終わる。
経済紙としては、この動きを単なる一大学の入試戦略として片付けるわけにはいかない。むしろ、これは、今後多くの大学が直面するであろう共通の課題への「先駆的な試み」として捉えるべきだ。
広島国際大学がどのような「特色」を具体的に打ち出し、それがどれだけ受験生や社会に響くのか。そして、その結果として、大学がどのような教育成果を上げていくのか。これらを注視していくことは、日本の高等教育の未来を占う上で、非常に示唆に富むものとなるだろう。
「待てど暮らせど」人口が増える時代は終わった。大学は今、自らの「特色」を磨き上げ、変化を恐れずに進化していくことこそが、生き残りの唯一の道なのである。
広島国際大学 2026年度入試で特待生制度を拡充！経済的な負担を軽減し、意欲ある学生を応援！,広島国際大学
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