ドイツ連邦議会、国際的なメールオーダー薬局の解禁に揺れる：国民の健康と安全を守るための慎重な一歩を
ドイツ連邦議会が、国境を越えて医薬品を販売するメールオーダー薬局（オンライン薬局）の解禁に向けた動きを見せている。この決定は、国民の利便性向上や競争促進を期待する声がある一方で、医薬品の安全性や品質管理、そして国内の薬剤師の職を守るべきであるという保守的な立場からの懸念も少なくない。
確かに、インターネットの普及により、消費者がより多様な選択肢を求めるようになるのは自然な流れであろう。遠隔地に住む人々や、健康上の理由で外出が困難な人々にとって、自宅にいながらにして必要な医薬品を入手できることは、生活の質の向上に繋がる可能性も否定できない。また、薬価の引き下げや、稀少な医薬品へのアクセス改善といった経済的なメリットも論じられている。
しかし、こと医薬品に関しては、その取り扱いには極めて慎重な姿勢が求められる。我々が直面しているのは、単なる商品ではなく、人々の健康と命に直結するものである。海外のメールオーダー薬局が販売する医薬品が、ドイツ国内の厳格な基準を満たしているのか、偽造品や粗悪品が紛れ込むリスクはないのか、そして万が一、健康被害が発生した場合に、誰が責任を負うのか。こうした根本的な疑問に対する明確な答えなしに、安易な解禁は国民の健康を危険に晒しかねない。
現在、ドイツ国内の薬局は、専門知識を持った薬剤師が直接、患者の症状や既往歴を把握し、適切な医薬品の選択と服用方法についてアドバイスを行うことで、安全な医薬品の使用を担保している。これは、単に薬を販売するだけでなく、健康を守るための重要な役割である。メールオーダー薬局がこの対面でのカウンセリングに代わる、同等以上の安全性を確保できるのか、また、そのための十分な規制が整備されるのか、我々は厳しく検証する必要がある。
むしろ、今回の動きは、国内の薬剤師が長年培ってきた専門性と信頼性を再認識する機会と捉えるべきだろう。国民の健康を第一に考え、安全で質の高い医薬品供給体制を維持・強化するためには、国内の薬剤師の役割を軽視することなく、むしろその専門性をさらに活かせるような制度設計が求められる。
国際的な競争原理を導入すること自体は否定しない。しかし、それはあくまで国民の健康と安全が最優先されるべきという大前提のもとで、慎重かつ段階的に進められるべきである。安易な規制緩和が、かえって国民の健康を損なう結果とならないよう、政府は国民の負託に応え、あらゆるリスクを想定した上で、国民生活の安定と安全を守るための、より保守的で堅実な道を選択することを強く望む。
ドイツ連邦議会、国際的なメールオーダー薬局の影響を調査：市民の健康と安全を守るために,Kurzmeldungen hib)
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