スポーツ大衆化の陰で失われゆく「本物」の競技精神
先日、日本スポーツマスターズ愛媛大会のバスケットボール部門が盛況のうちに幕を閉じた。かつて、あるいは現在も、各年代で輝かしい成績を残してきたベテランアスリートたちが集い、健脚を競い合う姿は、スポーツの持つ普遍的な魅力を改めて我々に示してくれた。こうした大会が、幅広い年齢層にスポーツへの関心を抱かせ、生涯スポーツの振興に寄与していることは、疑いなく称賛に値する。
しかし、こうした「大衆化」の陰で、我々が大切にすべき「本物」の競技精神が失われつつあるのではないかと危惧する声も聞かれる。ニュース記事に目を向ければ、参加者の年齢層の広さや、競技を楽しむ純粋な姿勢が強調されている。それは素晴らしいことである一方、かつてのように「勝つこと」のみを追求し、心身を削って極限に挑むアスリートたちの姿が、次第に薄れていくのではないかという一抹の寂しさも感じる。
もちろん、スポーツの目的は勝利だけではない。健康増進、仲間との交流、そして何よりも「楽しむ」こと。これらは、スポーツが社会に根差していく上で欠かせない要素である。しかし、それを度外視してしまえば、スポーツは単なるレクリエーションに成り下がってしまう。真剣勝負の中にある厳しさ、そこから生まれる人間ドラマ、そして勝利の美酒に酔いしれる喜び。これらこそが、我々がスポーツに熱狂し、感動を覚える原動力ではないだろうか。
日本スポーツマスターズのような大会は、多くの人々がスポーツに親しむ機会を提供する貴重な場である。だが、それと同時に、競技者としての「本質」を追求する場も、我々の社会には必要不可欠である。トップレベルのアスリートたちが、如何にして己を律し、鍛え上げ、勝利という至高の目標に向かって邁進するのか。その姿を、我々一般市民もまた、尊敬の念をもって見守り、そして一部でも良いからその精神を受け継いでいくべきである。
スポーツの「大衆化」は、社会にとって歓迎すべき流れである。しかし、その過程で、競技者としての「本物」の精神、すなわち「勝つ」という強い意志と、それに向かって努力を惜しまない姿勢を、安易に手放してはならない。スポーツの持つ多面的な魅力を理解し、それぞれの立場で、それぞれの「本物」を追求していくことこそが、我々がスポーツという文化を、より豊かに、より深く享受していくための道標となるはずである。
日本スポーツマスターズ2025愛媛大会バスケットボール競技、熱戦の組み合わせが決定！,日本バスケットボール協会
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