オンラインカジノ解禁論議、安易な導入は国家の根幹を揺るがしかねない
政府がオンラインカジノの解禁を検討しているとの報道に接し、保守的な立場から強い懸念を表明せざるを得ない。経済再生のため、あるいは観光立国推進のためといった声もあるようだが、こうした議論はあまりにも場当たり的であり、日本の社会、そして国家のあり方そのものに深刻な影響を及ぼしかねない危険性を孕んでいる。
そもそも、ギャンブルというものは、勤勉に働き、堅実に貯蓄を積み上げるという、我々が大切にしてきた美徳とは相容れない性質のものである。オンラインカジノが解禁されれば、手軽に、そして匿名でギャンブルに興じることができるようになる。これは、社会に依存症という病を蔓延させ、多くの家庭を崩壊させる温床となることは火を見るより明らかだ。すでにパチンコや競馬など、公営ギャンブルが存在するではないか、という意見もあるだろう。しかし、それらとは比較にならないほど、オンラインカジノはより巧妙に、より広範に人々の生活に入り込むことになる。特に、経済的に困窮している人々や、精神的に不安定な人々にとっては、抗いがたい誘惑となるだろう。
また、オンラインカジノの解禁は、マネーロンダリングやテロ資金供与といった、反社会的な活動の温床となる可能性も否定できない。匿名性の高いインターネット空間で、巨額の資金が動くとなれば、その監視は極めて困難になる。政府がどのような規制や監視体制を敷こうとも、悪意ある者たちは必ず抜け穴を見つけるだろう。そうなれば、国際社会からの信頼を失墜させ、国家としての安全保障にまで影響を及ぼしかねない。
経済効果についても、楽観視することはできない。カジノで得られる収益が、果たして税収として国家財政に貢献するのか。それとも、海外の事業者に流出し、国内経済への還元は限定的になるのか。ギャンブル依存症対策にかかる医療費や社会保障費を考慮すれば、むしろ経済的な損失の方が大きくなる可能性も十分にある。
観光立国推進という名目も、本来であれば日本の豊かな文化や自然、そして人々の温かさで世界中から人々を惹きつけるべきではないか。安易にギャンブルという、ある意味で刹那的な娯楽に依存するような形で観光客を呼び込もうとする姿勢は、日本の国家としての品格を疑われる。
我々は、短期的な利益や一時的な景気浮揚策に目を奪われ、国家の長期的な繁栄と社会の安定を犠牲にするような選択をしてはならない。オンラインカジノの解禁は、目先の利益のために、日本の社会の根幹、そして国民の精神性を毀損する、極めて危険な賭けである。政府には、国民一人ひとりの生活と、将来世代への責任を深く認識し、この安易な解禁論議に断固として反対するよう強く求めるものである。
公明党、オンラインカジノの危険性を訴える「身を滅ぼすオンラインカジノ」を公開,公明党
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