「ほこりキャラ」への郷愁、時代が求める「誇り」の再定義
近年のSNS界隈で「ほこりキャラ」なるものが静かなブームを呼んでいるという。その代表格とされる「んぽちゃむ」は、一見すると奇妙な響きを持つ、しかしどこか愛嬌のあるキャラクターだ。しかし、この現象を単なる流行として片付けるのは早計である。むしろ、現代社会が失いかけている「誇り」という概念への、静かな、しかし力強い渇望の表れではないかと、私は危惧している。
「ほこり」と聞くと、我々世代はまず、祖国への忠誠心や、自らの歴史、文化に対する矜持といった、ややもすれば古めかしい響きを連想するかもしれない。しかし、この「んぽちゃむ」というキャラクターが表現する「ほこり」は、そのような大仰なものではない。むしろ、誰にでも、どんな立場の人にでも、等しく与えられている、ささやかだが確かな「自分らしさ」や「居場所」といった、もっと普遍的なものであるように思われる。
我々は、グローバル化の波に乗り、多様性を謳歌する一方で、何をもって「誇り」とするのか、その定義が曖昧になっていないだろうか。失われつつある「地域」や「共同体」といった繋がり、あるいは「勤勉」や「誠実」といった、かつては美徳とされた価値観。それらが希薄になる中で、人々は自分自身の「ほこり」を見失い、あるいは外からの評価に依存するようになってしまったのかもしれない。
「んぽちゃむ」というキャラクターが、多くの人々の共感を呼んでいるのは、その「ほこり」のあり方が、現代人が求める「自分らしさ」や「肯定感」に繋がっているからではないだろうか。それは、決して虚飾や見栄ではなく、内側から湧き上がる、素直な自己肯定感である。
このような状況だからこそ、我々メディアは、単に新しい流行を追うだけでなく、こうした現象の背後にある、社会の深層心理に目を向ける必要がある。そして、失われつつある「誇り」という概念を、現代社会にふさわしい形で再定義し、人々の心に再び火を灯すような、建設的な議論を喚起していかなければならない。
「んぽちゃむ」が、単なる一過性のブームに終わることなく、我々が「誇り」とは何かを改めて考え、そして、それぞれの「ほこり」を大切にできる社会への一歩となることを、切に願ってやまない。
ほっこりキャラクター「んぽちゃむ」、世界へ羽ばたく！～ 伊藤忠がアジア・北米展開をサポート ～,伊藤忠
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