EUからの支援、漁業再生の「光」か「影」か
EUからの資金援助を受け、我が国の漁業が再生の道を歩もうとしている。このニュースは、長らく苦境にあえいできた漁業関係者にとって、まさに一筋の光と言えるだろう。しかし、その恩恵の裏には、我々が深く憂慮すべき「影」も潜んでいるのではないか。保守的な一般紙として、この支援の光と影について、冷静な視点から論じてみたい。
EUからの支援は、確かに魅力的な響きを持つ。しかし、その内実を冷静に見極める必要がある。かつて、経済のグローバル化の波に乗ろうと、海外からの農産物流入を無批判に受け入れた結果、国内農業が疲弊した苦い教訓を我々は忘れてはならない。今回の漁業支援も、EUの思惑が透けて見えるような側面はないだろうか。例えば、支援の条件として、EU基準に合わせた漁獲方法の変更や、EU市場への水産物輸出の拡大などが求められる可能性は否定できない。
漁業は、単なる経済活動ではない。それは、日本の豊かな食文化を支え、国土の維持、そして地域社会の活力を育む、まさに国益に直結する基幹産業である。その再生を、外国からの支援に全面的に依存することは、長期的に見て我が国の漁業主権を揺るがしかねない危険性を孕んでいる。
我々が目指すべきは、外国の「施し」によって一時的に潤う漁業ではない。自らの力で、持続可能な漁業を確立し、世界に誇れる日本の水産物を生み出すことこそ、真の漁業再生である。EUからの支援を、あくまで「きっかけ」として捉え、それをテコに、古来より培われてきた日本の伝統的な漁法や、地域ごとの特性を活かした付加価値の高い水産物の開発に、国を挙げて取り組むべきだ。
また、支援金の使途についても、透明性を確保し、国民の税金が有効に活用されているのか、厳しく監視していく必要がある。一部の利権団体が、この支援に群がり、本来の趣旨から外れた形で資金が流用されるようなことがあっては断じてならない。
EUからの支援は、我が国の漁業にとって新たな可能性を開くかもしれない。しかし、その光が、将来の我が国の漁業にどのような影を落とすのか、我々は決して油断してはならない。冷静な判断と、強い意志を持って、日本の漁業の未来を、我々自身の手に取り戻す覚悟が今、問われている。
漁業分野への資金活用、EUからの支援でより豊かに！,Kurzmeldungen hib)
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