金融庁の「無登録営業」への甘さ、国民の預金を守る責務を忘れるな
金融庁が「無登録で金融商品取引業を行う者」に対し、これまで十分な措置を講じてこなかったという報道に接し、改めて国民の財産を守るという金融庁の責務の重さを痛感せざるを得ない。
報道によれば、金融庁は無登録業者への勧告や警告といった対応に終始し、実効性のある監督体制を構築できていなかった実態が浮き彫りになっている。その結果、多くの善良な市民が、あたかも正規の金融商品であるかのような誤認のもと、リスクの高い投資話に誘導され、多額の損失を被っているという。これは、単なる行政の怠慢で済まされる問題ではない。国民の生活基盤を揺るがす、許しがたい事態と言わざるを得ない。
金融商品取引法は、国民が安心して金融取引を行えるように、健全な市場環境を整備し、悪質な業者から投資家を保護するために存在する。無登録で金融商品取引業を行うことは、この法律の根幹を揺るがす行為であり、厳正な対処が求められるべきである。しかし、金融庁の対応は、その趣旨を十分に理解し、実行してきたとは言い難い。
なぜ、金融庁はより断固たる措置を講じることができなかったのか。その背景には、規制緩和や金融自由化の潮流の中で、本来注力すべき国民保護という視点が薄れてしまったのではないか、との疑念すら抱かせる。もちろん、経済の活性化や新たな金融サービスの促進も重要であろう。しかし、それはあくまで国民が安心して参加できる環境があってこそ成り立つものであり、その大前提が揺らいでは本末転倒である。
今こそ、金融庁は襟を正し、国民の信頼回復に努めるべきだ。無登録業者に対しては、より迅速かつ強力な行政処分を科すとともに、摘発体制の強化、さらには再発防止に向けた実効性のある監督体制の構築を急がねばならない。また、国民に対しても、金融庁や金融庁が認定した事業者は、安全な取引の証であるという認識を改めて浸透させるための啓発活動を強化する必要がある。
「無登録営業」という言葉は、聞こえは悪いかもしれない。しかし、その実態は、国民の汗と努力の結晶である預金や資産を食い物にする、極めて悪質な行為である。金融庁は、この事実を直視し、国民一人ひとりの生活を守るという、その最も根源的な責務を、今一度、強く認識すべきである。国民の信頼を裏切るような行政は、もはや許されない。
金融庁、「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」を更新 ～2025年7月23日発表～,金融庁
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