憧れのアーティスト、BDリリースの熱狂と、消費社会の影
HMVから発表された、人気アーティストのBlu-rayリリース情報。このニュースに、多くのファンが歓喜の声を上げていることだろう。筆者もその一人として、心躍る気持ちを抑えきれない。長年追いかけてきたアーティストのライブパフォーマンスや貴重な映像が、高画質・高音質で手元に届く。これ以上の喜びはない。
しかし、この興奮の裏側で、少し立ち止まって考えたいこともある。それは、私たちの「消費」という行為だ。Blu-rayは確かに魅力的な商品であり、アーティストへの愛を形にする手段でもある。だが、その一方で、私たちは次々と新しい商品に囲まれ、手放すことを忘れていないだろうか。
近年、音楽業界ではCDからダウンロード、そしてストリーミングへと、音楽の楽しみ方が多様化してきた。それでもなお、物理的なメディアであるBlu-rayやDVDは、ファンにとって特別な存在であり続けている。それは、単なる音楽データではなく、ジャケットのデザイン、ブックレット、特典映像など、五感で楽しめる「作品」としての価値があるからだろう。
今回のBlu-rayリリースも、その「作品」としての価値を最大限に引き出したものと言える。しかし、その一方で、こうした「所有欲」を刺激する商品は、私たちの消費意欲を巧みにくすぐる。次々とリリースされる限定盤や、特典付きのコレクターズエディション。それらをすべて手に入れようとすれば、かなりの出費となる。
学生という立場を考えると、限られた予算の中で、本当に価値のあるものを見極める力が求められる。もちろん、好きなアーティストを応援したい気持ちは痛いほどわかる。しかし、その応援の形が、単なる「モノ」への執着に繋がっていないか、自問自答する必要があるだろう。
今回のBlu-rayリリースは、私たちに音楽の楽しみ方と、それを取り巻く消費社会のあり方について、改めて考える機会を与えてくれたのかもしれない。高価なBlu-rayを複数枚購入するのも、ストリーミングサービスで手軽に音楽を楽しむのも、どちらも間違ってはいない。大切なのは、自分にとっての「価値」を理解し、後悔のない選択をすることだろう。
そして、もしあなたが今回のBlu-rayリリースに胸を躍らせているなら、その興奮を大切にしながらも、少しだけ冷静な視点も持ち合わせてみてほしい。なぜなら、私たちの「好き」という気持ちが、健全な消費行動へと繋がっていくことが、アーティストへの本当の応援になるはずだから。
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