停滞打破の狼煙か、それとも既視感の繰り返しか？ 新しい自民党の肖像に問う
自民党が次期代表選挙に向けた政策・展望を打ち出した。世情は目まぐるしく変化し、国民の期待も日ごとに高まるこの時代において、党が描く未来図は、停滞の泥沼から抜け出すための革新的な羅針盤となるのだろうか。あるいは、いつものように耳触りの良い言葉を並べただけの、期待先行の空虚な絵空事に終わるのだろうか。我々は、この政策声明を冷静かつ鋭く見つめ、その本質を問い直さねばならない。
まず、打ち出された政策の数々。消費税減税、防衛費増額、少子化対策の抜本的強化… どれも国民が切に願う課題であり、その解決に向けた意欲そのものは評価に値する。しかし、問題は「何を」やるかではなく、「どう」やるか、そして「なぜ」やるか、だ。
消費税減税は、一時的な景気刺激効果は期待できるかもしれない。しかし、財政再建への道筋は依然として曖昧だ。増税なき財政健全化という夢物語は、国民の耳には心地よい響きをもたらすだろうが、現実的な財源確保の具体策が示されなければ、それは単なる「先送り」という名の無責任に他ならない。財政難という「病」に、特効薬ではなく、気休めの「風邪薬」を処方しているのではないか、という疑念が拭えない。
防衛費増額も同様だ。安全保障環境の厳しさが増す中、防衛力の強化は不可欠な要素である。しかし、その財源をどこから捻出するのか、その増額が周辺国との関係にどのような影響をもたらすのか。GDP比2%という数字だけが先行し、その裏側にある国民生活への負担や、外交的リスクへの配慮が欠けているならば、それは「国防」という名のもとに行われる「安易な軍拡」と見なされても仕方がない。
少子化対策についても、これまでの数々の政策が期待されたほどの効果を上げていない現実を直視すべきだろう。単なる金銭的支援の拡充に留まらず、若者が安心して子供を産み育てられる社会環境の整備、特に子育て世代への精神的・時間的負担の軽減こそが、真に効果的な少子化対策なのではないか。新たな政策が、過去の失敗から何を学び、どのようにそれを克服しようとしているのか。その点への言及が希薄であることは、残念ながら「既視感」を呼び起こさずにはいられない。
さらに、今回の政策声明に共通して感じられるのは、国民一人ひとりの実感を伴う「生活」への、あるいは「人生」への、より深い洞察が欠けているのではないか、という点だ。政策は、単なる数字や目標の羅列であってはならない。それは、人々の暮らしをどう豊かにし、希望を与え、未来への不安をどう取り除くのか。その「人間的」な側面への配慮こそ、政治が最も力を入れるべき部分ではないだろうか。
革新的な一般紙として、我々は党の意欲を無下に否定するつもりはない。しかし、同時に、国民が政治に求めているのは、空理空論ではなく、地に足のついた、そして何よりも「誠実」な政治であることも忘れてはならない。
自民党よ、今こそ問う。この政策は、停滞打破の狼煙となりうるか。それとも、国民の期待を裏切る、既視感の繰り返しに終わるのか。その答えは、これから党がどのようにこの政策を実行していくかにかかっている。我々は、その行方を厳しく、そして希望を持って見守りたい。
国民民主党、代表定例会見で今後の政策と展望を語る ～「新しい経済成長」へ向けた具体的な提案～,新・国民民主党
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