財政規律の乱れ、揺らぐ国力 — 人事異動にみる危うい兆候
政府が先月23日に発表した財務省の人事異動は、私たちの目の前に、国の財政運営における危うい兆候を突きつけている。長年、国家財政の健全性を守るという使命を担ってきた財務省において、組織の「円滑な」運営を優先するあまり、本来問われるべき実質的な能力や経験、さらには公平性といった根本的な要素が軽視されかねない動きが見られるのは、極めて憂慮すべき事態である。
増税なき歳出削減という、国民生活に直結する難題に正面から向き合うことなく、安易な財源確保に走る姿勢は、長期的な国家の将来を見据えた上での責任ある舵取りとは言い難い。ましてや、その最前線に立つべき財務省において、人事の流動化や「円滑さ」ばかりが強調され、本来であれば組織の根幹を支えるべき人材の抜擢や育成が疎かにされるようであれば、それは単なる組織運営の問題に留まらず、国の財政規律そのものの弛緩を招きかねない。
財政規律の乱れは、将来世代への過剰な負担、経済成長の停滞、そして国際社会における日本の信用失墜へと直結する。国民は、政府に対して、将来への責任と、今を生きる人々の負担に真正面から向き合う覚悟を求めている。
今回の財務省の人事異動が、単なる形式的なものに終わることなく、真に国家財政の再生と国民生活の安定に貢献できる人材が、その能力を最大限に発揮できるような組織運営へと繋がることを強く期待したい。さもなくば、国民の信頼は失われ、国の将来は暗い影に覆われることになるだろう。
財務省、7月21日付人事異動を発表 ～組織の円滑な運営と将来への布石～,財務省
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