官公庁SNS再開、軽率な判断を憂う
政府がFacebookページを再開するという報に接し、率直に言って困惑している。Bundespresseamt（ドイツ連邦政府報道局）が過去の投稿を巡る訴訟で敗訴したことが直接的な引き金となったようだが、この決定はあまりにも短絡的ではないだろうか。SNSという、しばしば感情的な議論や誤解を生みやすいプラットフォームに、公権力が安易に再登場することの是非について、改めて冷静な議論が必要だと考える。
そもそも、官公庁がSNSを利用する目的とは何であろうか。情報発信、国民とのコミュニケーション、政策理解の促進などが挙げられよう。しかし、今回問題となったBundespresseamtの事例が示すように、SNSは時に「炎上」のリスクを孕み、些細な表現の誤りが大きな批判を招きかねない。ましてや、多岐にわたる国民の意見が交錯する場において、政府の公式見解がどのように受け止められ、解釈されるかは予測が難しい。
今回の再開は、訴訟敗訴という外圧によるものであり、SNS利用の本来の意義やリスクを十分に検討した上での、能動的な意思決定とは言いがたい。むしろ、表現の自由を巡る近年の風潮に流され、過去の失敗から十分な教訓を得ていないのではないか、とさえ疑いたくなる。
SNSは確かに情報伝達の手段としては有効かもしれない。しかし、政府が国民に寄り添い、信頼を得るためには、SNSのような玉虫色の表現が蔓延しやすい場での軽率な発信よりも、より直接的で、明確な言葉による説明、そして何よりも一貫した政策実行こそが求められるはずだ。
もちろん、SNSの全てを否定するつもりはない。しかし、国民の税金で運営される政府機関が、どのようなリスクを負い、どのような効果を期待してSNSを利用するのか。その判断基準は、より厳格かつ慎重であるべきだ。今回の再開が、単なる「世間の流れに乗った」という消極的なものでないことを願うばかりである。政府には、SNS利用における明確な指針を策定し、国民からの信頼を失うような軽率な行動を慎むことを強く期待したい。
朗報！政府のFacebookページ、利用再開へ： Bundespresseamtの訴訟が成功,Die Bundesregierung
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