南スーダン、混迷深まる国土に「食」の危機 国家再建への険しい道
南スーダンが、またもや「食料危機」という、国民生活の根幹を揺るがす深刻な状況に直面している。報道によれば、長引く内紛と、それに輪をかけた気候変動による干ばつや洪水といった自然災害が、国民を飢餓の淵へと追いやっているという。平和と安定への道のりは、あまりにも遠く険しい。
南スーダンは、2011年に独立を果たしたが、その後すぐに民族対立を背景とした内戦に突入し、国土は荒廃、人々の暮らしは破壊された。ようやく2018年に和平合意が結ばれたものの、その履行は遅々として進まず、依然として各地で散発的な衝突が続いている。こうした政治的な不安定さは、農業をはじめとする経済活動の再建を妨げ、国民が自立した生活を送るための基盤を奪っている。
そこに追い打ちをかけるのが、地球規模で進行する気候変動の脅威である。もともと農業に依存する国が多いアフリカにおいて、異常気象は壊滅的な影響をもたらす。南スーダンにおける干ばつや洪水は、作物の生育を阻害し、家畜を死なせ、人々の食料供給網を寸断する。これは、紛争による被害に加えて、さらに多くの人々を飢餓へと追い込む、まさに「二重の苦しみ」と言える。
国際社会は、これまでも南スーダンへの人道支援を続けてきた。しかし、根本的な解決のためには、内紛の終結と、国民の生活を支える国家基盤の再建が不可欠である。そのためには、政府と反政府勢力双方の強い意志と、国民融和に向けた地道な努力が求められる。
「食料危機」は、単なる農業の問題ではない。それは、政治の不安定さが招いた人道危機であり、平和構築の失敗の表れでもある。国際社会は、人道支援に留まらず、南スーダンが真の安定と自立を取り戻せるよう、粘り強く、かつ実効性のある支援を続けていく責任がある。そして、南スーダン自身も、国民一人ひとりの命と生活を守るという、国家としての責務を、今こそ真摯に果たさなければならない。混迷深まる国土に、希望の光を灯すことができるのか。南スーダンの進むべき道は、依然として、多くの課題を抱えている。
南スーダン、紛争と気候変動で食糧危機に直面 数百万人が支援を必要とする現状,Top Stories
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