名古屋市消防局の採用試験、二次試験（個別面接）における「逆質問」の重要性に着目する
名古屋市消防局が2025年度の消防吏員採用試験において、二次試験（個別面接）で受験者からの「逆質問」を重視する姿勢を打ち出していることは、近年の採用活動における変化を象徴するものとして、業界内外から注目に値する。この動きは、単なる採用手法の一環に留まらず、消防という公共性の高い職務に就く人材育成のあり方、ひいては地域社会の安全確保という根幹に関わる示唆に富んでいる。
かつて、採用面接における「逆質問」は、受験者が組織への関心度や自己アピールをするための補完的な機会と捉えられがちであった。しかし、今回の名古屋市消防局の事例は、その認識を大きく転換させる可能性を秘めている。受験者からの「逆質問」を、単なる「知りたいこと」の確認に留まらず、その人物の洞察力、問題意識、そして将来へのビジョンを測るための重要な指標と位置づけているのである。
消防という仕事は、高度な専門知識や体力はもちろんのこと、刻々と変化する状況下で冷静かつ的確な判断を下し、チームとして連携しながら人命救助にあたる高度なコミュニケーション能力と協調性が求められる。また、地域住民からの信頼を得るためには、市民の安全を守るという使命感と、常に自己研鑽を怠らない姿勢が不可欠である。
このような資質を priori に見抜く上で、「逆質問」は極めて有効なツールとなり得る。例えば、組織の課題や将来の展望について具体的な質問を投げかける受験者は、消防という仕事の全体像を理解しようとする探求心があると同時に、自らが組織にどのように貢献できるかを真剣に考えている証拠と言えるだろう。また、困難な状況下での意思決定プロセスや、チームワークを円滑に進めるための工夫について尋ねる姿勢は、責任感や協調性を重視する消防の職場環境に合致する人材であることを示唆する。
もちろん、逆質問の内容だけで合否が決まるわけではない。これまでの筆記試験や集団討論などで培われた基礎的な能力が前提となることは言うまでもない。しかし、個別面接という限られた時間の中で、いかに効果的な「逆質問」ができるかによって、受験者の熱意やポテンシャルを最大限にアピールする機会が生まれる。
この名古屋市消防局の取り組みは、他の自治体や消防機関にとっても、採用活動のあり方を再考する契機となるだろう。画一的な質問応答ではなく、受験者一人ひとりの個性や潜在能力を引き出すための多様なアプローチを模索することが、これからの消防人材育成において重要性を増すことは想像に難くない。
「逆質問」は、企業や組織と個人との間で「双方向のコミュニケーション」を確立する第一歩である。名古屋市消防局のこの先進的な試みが、消防という崇高な使命を担う優秀な人材の獲得に繋がり、ひいては地域社会の安全・安心に一層貢献していくことを期待したい。そして、この流れが業界全体に広がり、より質の高い人材確保と育成の好循環を生み出すことを願ってやまない。
名古屋市消防吏員採用試験、第二次試験（個別面接2）の対象者が発表されました！,名古屋市
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