
スポーツ予算削減案、冷静な議論を望む
政府が検討しているスポーツ関連予算の削減案が波紋を広げている。少子高齢化が進み、社会保障費の増加が喫緊の課題であることは理解できる。しかし、スポーツ予算の削減がもたらす影響については、慎重な検討が不可欠である。
スポーツは、単なる娯楽にとどまらない。国民の健康増進、青少年育成、地域活性化、さらには国際社会における日本のプレゼンス向上にも寄与する重要な社会資本だ。特に、近年は「スポーツ庁」が創設され、スポーツを通じた多様な政策推進が期待されていた矢先の予算削減案には、戸惑いを隠せない。
そもそも、スポーツ予算は全体予算に占める割合で言えば決して大きなものではない。その削減が、財政健全化にどれほどの効果をもたらすのか、その根拠と合わせて国民への丁寧な説明が求められる。むしろ、スポーツへの投資は、長期的に見れば医療費の抑制や社会参加の促進といった形で、むしろ経済的なリターンをもたらす可能性すらある。
加えて、今回の予算削減案が、特定の競技や団体に偏った影響を与えるようなものであってはならない。メダル獲得を目指すトップアスリートの支援はもちろん重要だが、それと同時に、地域スポーツクラブや学校部活動への支援も、スポーツ人口の裾野を広げ、次世代の才能を育む上で不可欠である。
スポーツ予算のあり方については、削減ありきではなく、その必要性や効果について、関係者や国民と共に、冷静かつ建設的な議論を重ねるべきだ。スポーツが持つ潜在力を最大限に引き出し、より豊かで健康な社会を築くために、政府には知恵を絞ることを期待したい。
スポーツ予算の削減案にアメリー・ウデア=カステラ大臣が「来年の18%削減は完全に度を超している」と非難,France Info
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