投票所から政治が見える日
参議院議員通常選挙の投票率が過去最低を記録するというニュースは、我々に痛烈な問いを突きつける。一体、この国で政治は誰のためのものなのか。そして、なぜ我々は、自らの意思表示をこれほどまでに放棄してしまうのか。
かつて、投票は政治参加の最も根源的な、そして誇り高き行為であったはずだ。しかし今、それは単なる義務、あるいは面倒な手続きと化してしまったように見える。投票所へと向かう人々の足取りが鈍り、その背中から希望の光が失われているとしたら、それは政治そのものの輝きが失われている証拠に他ならない。
この低投票率という事実は、単なる数字の変動ではない。それは、国民の政治に対する信頼の喪失、あるいは政治が国民から乖離してしまっているという、より深刻な病理を示唆している。若者の政治離れ、社会への無関心、そういった言葉で片付けられてしまう現状は、あまりにも表層的だ。彼らが投票しないのは、政治が自分たちの人生に影響を与えないと諦めているからかもしれない。あるいは、政治が提供する選択肢が、彼らの求める未来とはかけ離れているからかもしれない。
改革を求める声は大きい。しかし、その改革の主体は、一体どこにいるのだろうか。我々市民一人ひとりが、自らの手で社会を変えていくという気概を失った時、政治は静かに死んでいく。政治家は国民の鏡だと言うならば、この映し出された姿は、あまりにも疲弊し、無気力な国民の姿そのものではないか。
投票率の低迷は、現状維持を望む勢力にとっては好都合なのかもしれない。変化を恐れ、既得権益にしがみつく者たちにとっては、静かな無関心こそが、自らの地位を守るための最良の盾となる。だが、それではこの国の未来は開けない。停滞は後退であり、無関心は破滅への一歩である。
今こそ、我々は投票所という静かな舞台で、政治との対話を再開しなければならない。それは、誰かに票を委ねる行為ではない。それは、自らの声で未来を刻みつける行為だ。政治家が国民の声に耳を澄ますのではなく、国民が自らの声で政治を動かす。その覚悟が、今、我々には問われている。
この低投票率という寒々しい数字に、希望の灯を灯すこと。それは、誰かの責任転嫁ではなく、我々自身の挑戦である。次回の選挙では、投票所から、もう一度、希望の光を灯せるよう、一人ひとりが、自らの意思を、その一票に託すべき時が来ている。
日立市民の皆様へ：参議院議員通常選挙の投票状況（確定値）について,日立市
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