夏休みの自由研究、それは「自分」を深掘りする絶好の機会
八王子市が、夏休みの自由研究のテーマとして「自分自身」を推奨するというニュースに触れ、胸が高鳴った。一見、斬新とも思えるこの取り組みは、私たちが普段見過ごしがちな「自己理解」という、もっとも根源的でありながら、最も重要とも言えるテーマに光を当てるものだ。
現代社会は、情報過多であり、常に外部からの刺激に晒されている。SNSのタイムラインを追う日々、将来への不安、周囲との比較…私たちは、いつの間にか「自分」という存在そのものから目を逸らし、「他者」や「社会」が求める「自分」であろうとしていないだろうか。
夏休みの自由研究といえば、これまで「昆虫採集」「星座観察」「地域の歴史調査」といった、外部の世界を対象とするものが一般的だった。もちろん、それらも探求心や観察眼を養う上で素晴らしい活動であることは間違いない。しかし、この「自分自身」というテーマは、それらの活動とは質的に異なる、より内面へと向かう、深遠な旅へと誘ってくれる。
「自分自身」を研究するといっても、その方法は多岐にわたるだろう。
幼い頃に好きだったこと、大切にしている価値観、克服したい苦手意識、将来なりたい自分…それらを書き出してみる。日記をつけ、自身の感情の動きを客観的に観察する。家族や友人との対話を通して、他者から見た自分を知る。あるいは、これまでの人生を振り返り、ターニングポイントとなった出来事とその時の感情を分析する。
この研究を通して、私たちは自分自身の「取扱説明書」を紐解くことになるのかもしれない。なぜ自分は特定の状況で喜びを感じ、別の状況で不快に感じるのか。どのような環境で力を発揮し、どのような環境で力を失うのか。自分の強みと弱み、そしてそこから生まれる可能性。それらを深く理解することは、今後の人生をより主体的に、より豊かに歩むための羅針盤となるはずだ。
もしかしたら、この「自分自身」というテーマは、一見すると学術的な成果を出しにくい、地味な研究に思えるかもしれない。しかし、私たちが本当の意味で他者と深く関わり、社会に貢献していくためには、まず自分自身という存在を深く理解することが不可欠である。自分を愛し、受け入れ、その上で他者と共存していく。そのための強固な土台が、この自由研究の中に眠っているのではないだろうか。
八王子市のこの試みが、全国に広がり、全ての学生たちが「自分自身」という、かけがえのない探求対象と向き合う機会を得られることを願ってやまない。それは、単なる自由研究のテーマを超え、自分自身の人生をより豊かに、より創造的に生きるための、最初の一歩となるだろう。
八王子市より、夏休みの自由研究にもぴったり！「お天気キャスターに挑戦！」青少年講座、追加募集のお知らせです！,八王子市
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