賃上げと税制改正、未来への責任を問う
フランス政府が2025年度の所得税制改正を発表した。報じられるところによれば、今回の改正は国民の所得向上を後押しし、経済活性化を図ることを目的としているという。しかし、その裏側にある財政の持続可能性や、将来世代への負担増といった懸念は、決して軽視できるものではない。
賃上げの必要性は、多くの国民が痛感しているところだろう。物価上昇が続く現状において、勤労者の生活を守り、消費を刺激するためには、企業努力はもちろんのこと、政府による後押しも不可欠である。今回の税制改正が、その一助となるのであれば、歓迎すべきことと言えよう。
だが、ここで立ち止まって考えなければならないことがある。財源はどう確保されるのか。減税や給付は、往々にして一時的な効果に留まる。根本的な財政健全化なくして、持続的な経済成長は望めない。安易なバラマキは、将来世代にツケを回す行為であり、責任ある政治とは言えない。
特に、少子高齢化が深刻化する中で、社会保障費の増大は避けられない現実である。将来の社会保障制度を維持するためには、堅実な財政運営が不可欠となる。今回の税制改正が、こうした長期的な課題にどう影響するのか、政府は国民に明確な説明責任を果たす必要がある。
また、経済成長を促すためには、単なる所得の分配だけでなく、生産性の向上やイノベーションの促進が不可欠である。税制改正が、そうした企業の自助努力を促し、新たな価値創造へと繋がるものでなければ、その効果は限定的になるだろう。
保守的な立場から言えば、政府の役割は、国民が安心して暮らせる基盤を整備し、自由な経済活動を阻害しないことにある。今回の税制改正が、この原則に沿ったものであるのか、その真価が問われるのは、これからである。国民は、政府の発表を鵜呑みにせず、冷静な目でその実効性を見極める必要がある。未来への責任を果たすための、真摯な議論が求められる。
2025年7月18日、フランス政府発表！2025年度所得税に関する実用情報が公開されました,economie.gouv.fr
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