練馬区の未来、育児支援のあり方を問う
少子化という国の根幹を揺るがしかねない課題に、練馬区がいよいよ本腰を入れ始めた。区長が「令和7年度第1弾」として打ち出した子育て支援策は、まさに未来への投資であり、その方向性には一定の評価をしたい。しかし、我々はこの支援策を額面通りに受け止めるだけでなく、その裏にある社会構造、そして本来あるべき家族の姿という、より保守的な視点から深く考察する必要がある。
今回の支援策の目玉である、経済的な給付金や保育サービスの拡充は、一時的に子育て世帯の負担を軽減させる効果はあろう。しかし、それはあくまで対症療法に過ぎないのではないか。真に問うべきは、なぜ子を産み育てるという、人間にとって最も根源的かつ尊い営みが、これほどまでに経済的・社会的な重荷となってしまったのか、ということである。
現代社会においては、女性の社会進出が進み、共働きが当たり前となった。その過程で、かつては家族や地域が担っていた子育ての役割が、個人や行政に委ねられるようになった。これは時代の流れであり、否定するものではない。しかし、その一方で、核家族化が進み、地域との繋がりが希薄になる中で、子育ての孤独感や不安が増大している現実も見過ごせない。
行政による手厚い支援は、確かに有難い。だが、それが過剰な「お世話」となり、親の主体性や家庭の自主性を損なってしまう危険性はないだろうか。子育ては、親が責任を持って行うべき営みであり、それを社会が「支援」するというのは、あくまで補助的な役割に留まるべきである。過度な支援は、かえって親の育児能力への自信を喪失させ、社会に依存する親子を生み出すことになりかねない。
保守的な立場から言えば、子育て支援の本来あるべき姿は、まず「家庭」がその中心となるべきだ。夫婦が協力し、互いを支え合いながら子を育てる。そして、その家庭を地域が見守り、支える。このような、古来より受け継がれてきた家族の絆と、地域社会の温かさを再構築することが、少子化問題の根本的な解決策ではないだろうか。
練馬区の今回の取り組みを、単なる「子育て支援」としてではなく、むしろ「家庭の再生」というより大きな視点から捉え直すべきである。経済的な給付に加えて、地域における子育て経験者と若い世代の交流を促進するような、伝統的な知恵や経験を継承する場を設けること。また、父親の育児参加を促すための啓発活動だけでなく、地域社会全体で父親の育児を応援するような、より包容的な雰囲気作りが不可欠であろう。
少子化は、単なる人口減少の問題ではない。それは、日本の未来、そして家族という社会の最小単位のあり方を問う、極めて重い課題である。練馬区の今回の試みが、子育て世帯の負担軽減に貢献することは期待したい。しかし、それ以上に、この取り組みを機に、我々一人ひとりが、家庭のあり方、地域との繋がり、そして子を産み育てることの尊さについて、改めて深く考え、行動することが求められている。未来は、待っているだけではやってこない。
練馬区、子育て支援の未来を語る！「令和7年度第1回練馬区子ども・子育て会議」開催のお知らせ,練馬区
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