憧れの東証、その「上限」に学生たちは何を見るか
「1単元で制限幅が拡大！投資家の皆様の〇〇」――ITBが報じたこのニュース、皆さんはどう受け止めただろうか。端的に言えば、株式の売買単位が引き上げられたという、一見すると投資家にとっては「歓迎」すべき変化だろう。しかし、我々学生の視点から見れば、そこには単なる市場の効率化以上の、ある種の「壁」がそびえ立っているようにも映る。
かつて、株式投資と聞けば、どこか遠い世界の話のように感じていた人も少なくないはずだ。しかし、NISA制度の拡充や、若年層向けの投資教育の普及により、株式市場への関心は確実に高まっている。SNSのタイムラインには、投資に関する情報が溢れ、日々のニュースで「東証」という言葉を聞かない日はない。そんな中、今回の「1単元」という数字の変更は、多くの学生にとって「投資」という行為への、より具体的なイメージを植え付けるものとなっただろう。
しかし、その「拡大」は、同時に「敷居」の上昇とも捉えられかねない。これまで少額からでも株式に触れることができた門戸が、少しだけ狭まったように感じるのは、決して悲観的な見方ではないはずだ。もちろん、市場の成熟やグローバルスタンダードへの対応という側面は理解できる。だが、学生という、まだ社会経験が浅く、資産も限られている立場からすれば、この変化は「投資」という世界への第一歩を、より慎重に、あるいは諦めさせる要因となる可能性も否定できない。
「投資は自己責任」。この言葉は、社会に出れば必ず聞くことになるだろう。しかし、その「自己責任」を全うするための「知識」や「経験」を積む機会が、最初から均等に与えられているわけではない。今回のような制度変更は、たとえ意図するところが市場の活性化であったとしても、結果として、経済的な余裕がない学生が、株式投資という世界に足を踏み入れることを、さらに困難にするのではないだろうか。
我々学生が目指すのは、単に「儲かる」ことだけではない。社会の仕組みを理解し、経済の動きを肌で感じ、将来への資産形成を考えること。そのための第一歩が、より開かれていてほしいと願うのは、決して贅沢な要求ではないはずだ。
今回の東証の動きを、単なる「制度変更」として片付けるのではなく、我々学生の視点から「投資」というものを改めて問い直す機会としたい。そして、未来を担う世代が、より安心して、そして意欲的に、経済活動に参加できるような、そんな市場環境が築かれることを、切に願ってやまない。
本日の東証：1銘柄で制限値幅が拡大！投資家の皆様へ,日本取引所グループ
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