専門職としての教員養成、社会の期待に応えるために
来年度の学校栄養職員採用試験において、専門知識と実践能力を問う筆記試験が導入されるという報道に接した。長年、現場での実務経験や人物像を重視してきた採用方法から、一歩踏み出した試みと言えるだろう。この変更は、学校給食という子どもたちの成長に不可欠な食を支える専門職としての、教員の資質向上への期待の表れと捉えることができる。
学校給食は、単に栄養バランスの取れた食事を提供する場に留まらない。食育の観点から、食の大切さや多様性を伝え、食文化への理解を育む重要な役割も担っている。そのためには、栄養学の専門知識はもちろんのこと、子どもたちの成長段階に応じた食の指導や、アレルギー対応、衛生管理といった高度な知識と技術が求められる。今回の採用試験における筆記試験の導入は、そうした専門性を客観的に評価しようとする動きであり、専門職としての教員養成をより確かなものにするための、社会的な要請に応えるものと言えるだろう。
もちろん、筆記試験だけで人物像や現場での適性がすべて測れるわけではない。むしろ、筆記試験で一定の専門知識を担保した上で、面接などを通じて、子どもたちへの愛情やコミュニケーション能力、チームワークといった、学校現場で不可欠な人間性や適性を多角的に評価していくことが肝要である。現場の経験や、子どもたちとの関わりの中で培われる直感や対応力も、学校栄養職員にとってかけがえのない財産であることは論を俟たない。
今回の採用試験の変更は、学校栄養職員という職種の専門性を高め、その社会的価値を再認識させる契機となるだろう。一方で、採用される側には、こうした変化への対応と、さらなる自己研鑽が求められる。そして、社会全体としても、学校給食の質向上に向けた継続的な支援と、専門職としての教員が活躍できる環境整備を怠ってはならない。子どもたちの健やかな成長のために、教育現場と社会が一体となって、より良い学校給食の実現を目指していきたい。
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