デジタル新時代、大学の「原点」に立ち返る意義
2025年7月20日、ITmediaビジネスオンラインに掲載された「デジタル庁、「デジタル原則」に沿った行政手続き」という見出しの記事は、我々学生にとって、未来への大きな一歩を示すと同時に、大学という学び舎のあり方を改めて問い直す契機となる。
記事は、デジタル庁が目指す「デジタル原則」に基づいた行政手続きの簡素化・効率化について論じている。これは、テクノロジーの力で市民生活をより豊かに、そして便利にするという、まさに現代社会の進むべき方向性を示唆している。しかし、この変化の波は、行政手続きのみに留まらない。我々が日々を過ごす大学というキャンパス、そしてそこで行われる教育や研究もまた、デジタル化の恩恵を受けるべき、いや、受けるべき時代が来ているのだ。
もちろん、大学のデジタル化は単なるオンライン授業の導入や、学習管理システムの整備といった表面的な変化だけを指すのではない。それは、情報へのアクセスを民主化し、学生一人ひとりの多様な学習スタイルに応じた、よりパーソナルな学びの環境を創出することだ。膨大な情報がインターネット上に溢れる現代において、大学は「情報を提供する場」から、「情報を主体的に探求し、価値を見出す力を育む場」へと変貌を遂げる必要がある。
しかし、ここで忘れてはならないのが、大学の「原点」だ。デジタル技術はあくまで手段であり、目的ではない。大学の原点とは、学生が教員と直接対話し、議論を深めること。仲間と切磋琢磨し、互いに刺激し合いながら成長すること。そして、知的好奇心を満たし、自らの可能性を信じ、未来を切り拓く力を養うことにある。
デジタル化が進むにつれて、私たちは「情報」と「知識」を容易に手に入れることができるようになった。しかし、それらを「智慧」へと昇華させるためには、やはり人間同士の温かい交流、そして、時にぶつかり合いながらも共に歩む経験が不可欠だ。オンラインで完結する学習だけでは、この「智慧」を育むことは難しいだろう。
だからこそ、我々学生は、デジタル化の波に乗り遅れることなく、大学の「原点」を見失わないように、大学当局に、そして私たち自身に問いかけ続けなければならない。デジタル技術を最大限に活用しながらも、人間的な繋がりを大切にする学びの場を、どのようにデザインしていくべきなのか。
デジタル庁の「デジタル原則」が、行政手続きをより良く変えるように、大学における「デジタル原則」もまた、学生一人ひとりが輝ける、より良い学びの場を創造するための羅針盤となるはずだ。未来への扉を開く鍵は、テクノロジーだけでなく、大学の「原点」に根差した、温かくも知的な探求心にあると、私は信じている。
デジタル庁、「デジタル原則」に沿った行政手続きへの進化を加速！～新規法令等の適合性確認プロセスを公開～,デジタル庁
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