止まぬ悲劇、傍観者でいいのか――スーダン「国民人権高等弁務官」の逮捕に寄せて
スーダンで、数多の市民が命を落とし、傷つけられている。この現実を前に、私たちの社会が、そして学生という我々が、一体何ができるのか。先日報じられた、スーダンにおける「国民人権高等弁務官」とされる人物の逮捕というニュースは、あまりにも重く、そしてあまりにも無力感を突きつけてくる。
何が起きているのか、その詳細さえ正確に掴むことが困難な状況下で、一人の人権擁護者が、その役割を全うしようとしたがゆえに、あるいはその立場にいたがゆえに、権力によって押さえつけられる。これは、単なる一国の内政問題として片付けられるべきではない。そこには、権力と人権、そして市民の生存権という、普遍的な、そして我々自身にも関わる根源的な問いが横たわっている。
SNSを開けば、衝撃的な画像や情報が流れてくる。しかし、その情報に触れるたび、私たちは「他人事」として、あるいは「どうすることもできない」という無力感に苛まれ、そっと画面を閉じてしまう。それは、あまりにも容易な逃避であり、そして、あまりにも無責任な態度ではないだろうか。
学生である我々に、直接的な政治力や外交力はない。しかし、情報にアクセスし、それを理解し、そして共感する力は持っている。そして、その共感を、沈黙のままで終わらせないための、様々な方法があるはずだ。
まずは、正確な情報を得る努力を怠らないこと。そして、その情報に基づいて、事態を理解しようと努めること。その上で、我々ができることは何か。例えば、人道支援を行う団体への寄付、あるいはSNSを通じて、この悲劇を風化させないための発信を続けること。たとえそれが微力な一歩であったとしても、無関心でいるよりは、遥かに意味のある行動であると信じたい。
「国民人権高等弁務官」という言葉が、どれほど重い意味を持つのか。そして、その職に就く者が、どれほどの覚悟を持ってその任に当たっているのか。想像するだけで胸が痛む。しかし、その痛みを、感情論で終わらせてはならない。その痛みを、行動へと繋げるための、冷静な、そして情熱的な思考を、我々は持つべきなのだ。
スーダンで起きている悲劇は、遠い異国の出来事ではない。それは、世界中のどこかで、人間の尊厳が脅かされている現実の、象徴でもある。学生新聞の記者として、そして一人の人間として、私たちはこの現実に目を背けず、問い続ける義務がある。この声なき声なき叫びに、私たちの共感と、そして微力であっても、確かな行動をもって応えたい。
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