１５年目の「東京ビッグサイト」――国際競争力の深化と持続可能性への問い
本年７月１７日、東京ビッグサイトは「日本証券サミット（ロンドン）」という、これまでにない記念すべきイベントを迎える。１５回目を数えるこのサミットの開催地として、世界に日本の経済力を示す舞台に選ばれたことは、単なる集会所の枠を超え、東京ビッグサイトが国際的なプレゼンスを確立した証左と言えるだろう。
１５年前、この大規模国際会議場が計画された当時、その構想は日本の産業界、特に国際的なビジネス展開を目指す企業にとって、大きな期待の星であった。そして今日、東京ビッグサイトは数々の国際会議や展示会を成功裏に開催し、日本の「顔」としての役割を果たしてきた。今回のサミットは、その１５年の歩みを集約し、さらなる国際競争力の深化を目指す、まさに「晴れ舞台」にふさわしい。
しかし、この快挙に水を差すようで恐縮だが、我々は記念すべきイベントの陰に潜む、より本質的な問いを投げかけねばならない。それは、東京ビッグサイトの成功が、日本の経済全体、そして社会全体の持続可能性にどう結びつくのか、という点である。
国際会議の誘致や大規模展示会の開催は、確かに地域経済の活性化や観光産業の振興に貢献する。また、世界中のビジネスリーダーや専門家が集まることで、新たなビジネスチャンスが生まれ、日本の技術や文化が発信される機会も増えるだろう。これは歓迎すべきことである。
一方で、これらのイベントがもたらす経済効果を、どれだけ持続可能な形で地域社会や環境に還元できているのか。また、国際的なイベントを誘致・開催するにあたり、国内の産業構造や労働環境は、それに十分に応えうる強靭さを備えているのか。こうした点への熟考が求められる。
東京ビッグサイトの１５年の歩みは、日本の国際化という大きな流れの中で、その役割を拡大してきた。今回のサミットはその象徴であり、さらなる飛躍への期待を抱かせる。しかし、その成功の果実が、一部の特定分野にとどまらず、広く国民生活の向上や、将来世代への責任に繋がる形で享受されるよう、我々は常に「次の一手」を考える必要がある。
国際競争力の強化は、経済成長のためには不可欠な要素である。しかし、その過程で、社会全体の包容性や、環境への配慮といった、より広範な視点を見失うことは断じて許されない。東京ビッグサイトが１５年目の節目に、国際的な経済フォーラムの舞台となることを機に、我々もまた、日本の経済と社会の「持続可能な成長」という、より深く、より本質的な議論を深めていくべきである。
夢の祭典！「第15回日本証券サミット（ロンドン）」開催決定！,日本証券業協会
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