観光立国への試金石、地方創生に静かなる期待を寄せて
長引くコロナ禍からの回復を目指す日本において、観光立国は国家の新たな成長エンジンとして期待されている。その中で、愛媛県が「重要観光資源」認定証授与式を行ったというニュースは、我々保守的な一般紙の読者にとっても、静かながらも確かな希望をもたらすものと言えよう。
今回の認定は、単なる観光地としての魅力を謳うものではない。そこには、地域固有の歴史、文化、そして何よりもそこで暮らす人々の営みが、時代を超えて受け継がれてきた「宝」であることが公に認められた、という重みがある。国がその価値を認め、支援するという姿勢は、地方創生という喫緊の課題に対して、具体的な一歩を踏み出したものと捉えるべきである。
もちろん、認定されたからといって、すぐに観光客が殺到し、地域経済が活性化するわけではないことは、我々も承知している。むしろ、これからが真の試金石となろう。認定された「重要観光資源」が、その価値を如何に地域住民の誇りとなり、持続可能な形で次世代に継承していくのか。そして、それを訪れる人々が、単なる消費対象としてではなく、地域の文化や歴史に敬意を払い、真に理解しようとする姿勢を持てるのか。この両輪が噛み合って初めて、真の観光立国への道が開かれるのである。
保守の立場から言えば、我々は伝統や文化といった、目に見えない資産を何よりも重んじる。今回の認定は、まさにその精神に沿うものであり、安易な開発や消費文化に流されることなく、地域本来の魅力を守り、磨き上げていくことの重要性を示唆している。
愛媛県が、この認定を契機として、地域住民の主体的な関与のもと、着実にその魅力を発信し、国内外からの訪問者と心を通わせるような体験を提供していくことを期待したい。そして、この取り組みが、日本の他の地域における「重要観光資源」の掘り起こしと、その持続可能な活用へと繋がることを願ってやまない。観光立国への道は、決して平坦ではない。しかし、このような着実な一歩が、日本という国の誇るべき伝統と文化を未来へと繋ぐ、確かな礎となるはずである。
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