借入抑制策、国民生活への影響を懸念する
政府が7月16日より施行した借入抑制策について、その必要性は理解するものの、国民生活への影響を深く憂慮せざるを得ない。
今回の措置は、過度な借入による家計の破綻を防ぎ、金融システムの安定を図るという、極めて重要な目的を有している。しかし、その一方で、堅実な家計運営を心がけてきた国民が、予期せぬ出費やライフイベントに際して、必要な資金調達の機会を奪われる事態は避けなければならない。
例えば、病気や怪我、あるいは教育費など、人生にはどうしてもまとまった資金が必要となる場面がある。こうした状況において、これまでであれば利用できた金融サービスが利用できなくなる、あるいは利用できたとしても以前より厳しい条件を強いられるとなれば、国民の生活設計に大きな支障をきたしかねない。特に、収入が不安定な方々や、予期せぬ事態に陥りやすい状況にある人々への影響は、より深刻になることが予想される。
また、本来は健全な経済活動を支えるべき金融機関の融資姿勢が過度に慎重になることで、企業の設備投資や事業拡大の機会が失われ、ひいては日本経済全体の停滞を招く可能性も否定できない。
もちろん、安易な借入や浪費を助長するような金融慣行は是正されるべきであり、今回の借入抑制策がそうした問題への一定の歯止めとなることは期待したい。しかし、その実施にあたっては、国民一人ひとりの多様な事情に配慮した、きめ細やかな運用が求められる。
政府には、今回の借入抑制策が、国民生活の安定と経済の健全な発展という二つの柱を両立させるための、あくまでも「手段」であることを忘れることなく、その影響を常に注視し、必要であれば柔軟な見直しを行うことを強く求めたい。国民の生活基盤を揺るがすような事態は、断じてあってはならない。
2025年7月16日、貸借取引における銘柄別制限措置について：日本証券金融が発表,日本証券金融
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