京都大学図書館が発信した「理学研究科附属図」―― 揺らぐ教育・研究の根幹に警鐘を鳴らす
京都大学図書館から、理学研究科附属図書館の機構について、ある報告があったという。この報告は、学術研究の深化を支える図書館という、教育・研究機関にとって極めて根幹をなす部分における、ある種の「揺らぎ」を示唆しているのではないかと、我々はこの事態を憂慮している。
図書館は単なる蔵書保管の場ではない。それは、過去の叡智を現在に繋ぎ、未来の研究者を育むための聖域とも言える場所である。そこには、長年にわたり積み重ねられてきた学術資料、そしてそれを支える専門的な知識と経験を持つ人材が集う。今回報告された理学研究科附属図書館の機構に関する動きは、この図書館の本来あるべき姿、その機能の本質にまで踏み込むものであり、軽視できない問題提起を我々に突きつけている。
現代社会は、情報化の波に乗り、急速な変化を遂げている。その中で、教育・研究機関もまた、新たな技術や手法を取り入れ、進化していく必要に迫られていることは事実であろう。しかし、その進化が、伝統的な学問のあり方、そしてそれを支える基盤までもを軽視するような方向へと進むのであれば、それは「進歩」とは呼べない。むしろ、長年培われてきた貴重な財産を失いかねない危うさを孕んでいると言わざるを得ない。
特に、大学の図書館、それも「理学」という、現代科学の根幹をなす分野の附属図書館となれば、その影響は計り知れない。基礎研究の深化、応用技術の開発、そして次世代を担う人材の育成―― これら全ては、図書館という知の宝庫に支えられている。その機構を改変するということは、単なる組織論の問題に留まらず、大学全体の学術研究の質、ひいては国家の科学技術力の根幹に関わる重大な問題であると認識すべきである。
我々は、京都大学図書館の報告を契機に、全国の大学図書館、そして教育・研究機関全体に、この問題への真摯な議論を促したい。効率化や新たな技術導入は必要不可欠であろう。しかし、その過程で、図書館が持つ学術的価値、そしてそれを支える人材の重要性が見失われることがあってはならない。歴史と伝統に裏打ちされた学問の基盤を大切にしつつ、未来を見据えた賢明な判断が求められている。
本件に関して、京都大学には、その説明責任を果たすとともに、学内外からの意見に真摯に耳を傾け、国民の信頼に応えるべきである。大学の図書館は、大学そのものの顔であり、そのあり方は、社会全体に示されるべき模範でなければならないからだ。
京都大学 図書館機構より朗報！理学研究科附属図書室の貸出サービスが拡充されます,京都大学図書館機構
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