ドイツ連邦議会、内務委員会「非公開」審議の深化に懸念
ドイツ連邦議会内務委員会の、来る７月２３日の審議が非公開で行われるとの報に接し、憂慮を禁じ得ない。連邦議会、とりわけ治安や市民の権利に深く関わる内務委員会の活動が、国民の知るところとならないまま進められることの是非について、改めて議論を深めるべき時期に来ているのではないだろうか。
民主主義国家において、議会の活動は原則として開かれたものであるべきだ。国民の代表が集う場である議会は、その意思決定プロセスを透明にすることで、国民の信頼を得、健全な民主主義の基盤を維持することができる。特に、今回非公開とされる議題が、テロ対策や情報収集活動といった、国家の安全保障に直結する一方で、市民の自由やプライバシーとの間で繊細なバランスを要求されるものであることを鑑みれば、なおさらである。
もちろん、国家の安全を守るためには、機密性の高い情報を取り扱う必要が生じる場合があることは理解できる。しかし、その「必要性」の範囲が拡大解釈され、不当に情報公開が狭められることへの警戒は怠ってはならない。非公開審議の裏で、国民の権利が静かに、しかし確実に制約されるような事態は、断じて許容されるべきではない。
今回の内務委員会の決定が、いかなる理由に基づいているのか、そしてその「非公開」がどの程度の期間、どのような範囲で適用されるのか、国民への丁寧な説明が求められる。また、非公開での審議が行われたとしても、その結果については、可能な限り詳細な情報公開がなされるべきである。審議の「過程」だけでなく、「結果」の透明性こそが、国民の知る権利を守る上で不可欠である。
民主主義は、常に国民の参加と監視によって支えられている。議会の権限が強まるにつれて、それをチェックする国民の目も、より厳しく、そしてより広く開かれている必要がある。今回の非公開審議は、そのチェック機能を一時的にでも弱める可能性を孕んでいる。ドイツ連邦議会には、国民の信頼に応えるべく、開かれた議会運営の原則を揺るがぬものとして、その責任を全うしてほしいと切に願う。
ドイツ連邦議会 内務委員会、2025年7月23日に非公開の第6回会合を開催,Tagesordnungen der Ausschüsse
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