国の未来を担う私たちへ:「グローバル」という名の、見えざる壁,アメリカ


国の未来を担う私たちへ:「グローバル」という名の、見えざる壁

夏の日差しが照りつける7月17日、米国の国防総省から発表された「2025年度の国防予算案」。その中には、我々学生にとって無視できない、そして深く考えさせられる一文があった。「グローバルな安全保障環境への対応」を名目とした、さらなる防衛費の増額である。

このニュースが伝えるものは、単なる数字の羅列ではない。それは、国家が「安全」という名の巨城を築くために、どのような価値観を優先し、どのような未来を描こうとしているのか、その姿を浮き彫りにしている。そして、その未来の担い手である私たち学生に、静かに、しかし確かに問いかけているのだ。「あなたたちは、この国の進むべき道を、どう見つめるのか」と。

「グローバル」という言葉は、響きが良い。世界に開かれた、先進的なイメージを想起させる。しかし、その実態は、常に変化し続ける複雑な国際情勢への対応、そしてそれに伴う「仮想敵」との対峙を意味する。国防費の増額は、ある意味では、国家の存続と国民の安全を守るための当然の措置と言えるだろう。しかし、その矛先がどこへ向かい、どのような影響を及ぼすのか、我々はもっと真剣に議論すべきではないだろうか。

軍事力の強化は、確かに抑止力となるかもしれない。しかし、それは同時に、緊張を高め、新たな対立を生む火種にもなり得る。平和を希求する声は、軍事的な論理の前には、しばしばかき消されてしまう。我々学生は、机上の空論に終始することなく、この「グローバル」という名の、見えざる壁の向こう側にある現実を、しっかりと見据える必要がある。

私たちが求められているのは、単なる「平和ボケ」ではない。それは、国際情勢を冷静に分析し、軍事的な手段に頼る以外の、より建設的な平和構築の方法を模索する知性である。対話による解決、文化交流の促進、経済的な相互依存の深化。これらこそが、真の意味で国境を越えた「安全保障」に繋がる道ではないだろうか。

国防予算の行方、そしてそれが描く未来図は、私たち学生の未来に直接的に関わってくる。教育、福祉、環境問題など、平和な社会を築くために必要な投資は、数え切れないほど存在する。防衛費の増額は、それらの分野への投資を圧迫することになりかねない。我々は、何のために税金を払い、何のために国家を維持するのか、その根本的な問いに向き合わなければならない。

このニュースは、私たち学生に、与えられた未来を受け入れるだけでなく、自ら未来を創造していく責任があることを突きつけている。声なき声に耳を澄まし、批判的な視点を持ち、そして何よりも、平和と対話を希求する情熱を失わないこと。それが、この国の未来を担う私たちに、今、最も求められていることなのだ。

夏草が青々と茂るように、私たちの若き情熱もまた、この国の未来を照らす光となり得る。さあ、共に考え、共に語り、そして共に歩み出そう。


米国国務省、7月16日の公務予定を発表:グローバルな外交活動の一端が明らかに,U.S. Department of State


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