サプライメイント：知恵を借り、国益を守る姿勢を
政府が経済成長の新たな柱として「サプライメイント」を推進するという報道に接し、我々は改めて国の経済政策のあり方について考えさせられている。フランス経済・財務省が提唱するこの概念は、供給網の強化とそれに伴う経済安全保障の確保を目的とするものだという。少子高齢化が進み、国際社会における日本の立場も常に変化する中で、他国の優れた知恵を積極的に取り入れ、我が国の国益を守り、発展させていく姿勢は、保守的な立場から見て当然のことと言えるだろう。
しかしながら、その「知恵」をどのように取り入れるか、そして「国益」をどう定義するかについては、慎重な議論が必要である。経済安全保障という言葉は、時に聞こえは良いものの、保護主義や排他的な政策へと繋がりかねない危うさも孕んでいる。我々が目指すべきは、あくまで国際協調の精神に基づき、自国の産業基盤を強化しつつ、開かれた経済システムの中で競争力を高めていくことであるはずだ。
サプライメイントの推進にあたっては、具体的にどのような戦略が取られるのか、その詳細を注視する必要がある。例えば、基幹産業におけるサプライチェーンの国内回帰や、特定の国への依存度低減といった施策は、短期的な安心感をもたらすかもしれない。しかし、それが過度なコスト増につながったり、あるいは国際的な分業体制のメリットを損なったりするようでは、本末転倒である。むしろ、先進技術の導入や、グローバルな人材育成への投資といった、将来への布石となるような、より本質的な強化策こそが求められるのではないか。
また、サプライメイントという言葉自体が、国民にその意図や目的を正確に伝えられているのかも疑問である。経済政策は、国民一人ひとりの生活に直結するものである。どのような思惑で、どのようなメリット・デメリットが想定されるのか、政府はもっと丁寧に説明責任を果たすべきだ。単なる政策の掛け声に終わらせず、その実効性を国民が理解し、納得できる形で示していくことが、政権への信頼にも繋がるはずである。
保守的な立場から、我々は常に国の根幹をしっかりと守ることを重視する。そのためには、変化を恐れず、しかし足元をしっかりと見据え、着実に歩を進めることが不可欠だ。フランスという欧州の有力国が打ち出すこの新たな概念から、我々が学ぶべき点は少なくないだろう。しかし、その学びは、あくまで我が国の国益に合致する形で、冷静かつ戦略的に行われなければならない。政府には、目先の成果にとらわれず、長期的な視点に立って、日本の未来を切り拓くための、より深く、より賢明な政策運営を期待したい。
2025年7月15日発表！Economie.gouv.frから学ぶ「サプリメント：知っておくべきこと」,economie.gouv.fr
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