ドイツ連邦議会、経済協力・開発委員会の「非公開」審議を問う
ドイツ連邦議会経済協力・開発委員会の審議が、一部非公開で行われたとの報道に接し、我が国の民主主義の根幹に関わる重要な問題を改めて考えさせられる。経済協力や開発といった、国民の税金が投入され、国際社会における我が国の役割を左右するような重要事項について、国民の知る権利が制限される事態は、断じて容認できるものではない。
確かに、国際関係の複雑さや、交渉のデリケートさから、全ての議論を逐一公開することが難しい場面もあろう。しかし、それはあくまで例外的な措置であり、その理由と範囲については、国民に対して十分な説明責任が果たされるべきである。今回の件は、その説明が十分であったのか、そしてそもそも「非公開」という選択が、本当に必要不可欠なものだったのか、大いに疑問が残るところである。
民主主義国家においては、政府の活動、とりわけ立法府の審議は、国民に対して開かれていることが原則である。透明性の確保は、国民の信頼を得るための最も基本的な要件であり、同時に、政府の腐敗や不正を防ぐための砦でもある。今回のような「非公開」という手段が、本来の目的から逸脱し、一部の勢力にとって都合の良い隠れ蓑となりかねない危険性も否定できない。
経済協力や開発は、単なる外交上の駆け引きに留まらず、世界の貧困撲滅や持続可能な発展といった、地球規模の課題に我が国がどう向き合うかを示す指針である。そうした重要な意思決定の過程が不透明になることは、国民の理解と支持を得ることを困難にするだけでなく、国際社会からの信頼をも損ないかねない。
経済協力・開発委員会の皆様には、今回の報道を踏まえ、改めて情報公開の重要性について深く内省されることを期待したい。そして、今後の審議においては、可能な限り情報公開を徹底し、国民に開かれた議論を積み重ねていくことこそが、民主主義国家の責任ある姿であろう。国民の信頼を得て初めて、真に実効性のある国際協力が可能となるのである。
ドイツ連邦議会 経済協力・開発委員会、非公開の第4回会合を9月3日に開催,Tagesordnungen der Ausschüsse
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