若者の成長を見守るという営みの重み
先の震災から１７年という歳月が流れた。復興は着実に進み、かつて津波の爪痕に覆われていた大地には、新たな街並みが広がり始めている。そして、その復興の歩みと共に、一つの生命が力強く成長を遂げている様子を、私たちは今、目にしている。
それは、震災の悲劇から間もなく誕生した一頭の仔馬だ。命懸けで家族を守った母馬が、極限状態の中で繋いだ命の灯火。その仔馬は、母の愛情と多くの人々の支えを受け、厳しい環境の中で力強く成長してきた。今回、その成長を間近で見守る機会を得た。
驚くべきことに、この仔馬は驚くほどの順調な成長ぶりを見せている。その姿は、希望の象徴と言っても過言ではないだろう。しかし、同時に私たちは、この仔馬の将来について、深い思慮を巡らせる必要がある。
一般的に、人間の子供の成長過程に比べ、馬の成長は遥かに早い。幼い頃から広い牧草地で自由に駆け回り、自然の摂理の中で逞しく育っていく。しかし、その成長の速さゆえに、人生の岐路に立つ時期も早まることを意味する。この仔馬も例外ではないだろう。やがては独立し、自身の人生を切り拓いていく時が来る。
そこで問われるのは、我々大人たちの役割である。私たちは、この仔馬の成長をどのように見守り、そしていつ、どのような形でその手を離すべきなのか。単に成長を見守るだけでなく、その先の人生まで見据えた、より本質的な支援が求められているのではないか。
例えば、彼にどのような教育を与え、どのような価値観を育むべきか。どのような選択肢を提示し、どのような道へと導くべきか。これらは、震災という未曾有の災害を経験した私たちだからこそ、深く考え抜かなければならない課題である。
過去の経験から学び、未来への教訓とする。それは、私たち人類が常に歩んできた道であり、そしてこれからも歩み続けるべき道であるはずだ。この仔馬の成長を、単なる一頭の馬の成長としてではなく、私たち自身のあり方を見つめ直す機会として捉えたい。
将来、この仔馬がどのような道を歩むのかは誰にも分からない。しかし、確かなことは、彼が今、私たちの目の前で力強く生きているということだ。その生命を尊び、その成長を支えること。それは、私たち大人が担うべき、重責であり、同時に喜びでもある。
震災からの１７年という年月は、多くの悲しみと同時に、再生と成長の物語も紡ぎ出してきた。この仔馬の物語もまた、そうした希望に満ちた物語の一つとして、未来へと語り継がれていくことを願ってやまない。
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