白昼夢か、現実か？ アメリカ国民優先の「ホワイトハウスが夏を」発想に潜む危うさ
「アメリカ国民を最優先に」――。夏の暑さ対策を巡り、ホワイトハウスがこのようなスローガンを掲げているというニュースを目にした時、正直な感想は「どこか現実離れしている」というものだった。まるで、世界のすべてがアメリカ国民のために回っているかのような、あるいは、アメリカ国民の快適さだけが地球規模の課題の解決に繋がるかのような、そんな白昼夢のような発想ではないだろうか。
もちろん、自国民の幸福と安全を守ることは、いかなる政府にとっても最重要課題であることは理解できる。しかし、気候変動という、人類全体が直面する、国境も人種も超えた喫緊の課題に対して、「アメリカ国民優先」というフィルターをかけることの是非は、改めて問われるべきだと考える。
このニュースは、一見すると単純な気候変動対策の一環のように映るかもしれない。しかし、その裏には、グローバルな視点の欠如、あるいは、より深刻な自己中心的思考の蔓延が透けて見える。地球温暖化は、一部の国だけが恩恵を受け、一部の国だけが被害を被るという単純なものではない。温暖化によって引き起こされる異常気象、食糧危機、そしてそれに伴う紛争や難民問題は、いずれ世界中の、そして私たち自身にも降りかかる現実である。
「ホワイトハウスが夏を」という言葉に、 we are the world、という連帯感は微塵も感じられない。むしろ、私たちと彼ら、という分断を煽り、分断を深めるための言葉にすら聞こえる。地球という一つの船に乗っているという認識が希薄になり、自分たちの快適さだけを追求した結果、本当に守るべきものは何なのかを見失ってしまうのではないか、と危惧するのである。
学生である私たちは、未来の担い手として、この地球をどう次世代に引き継いでいくのかを真剣に考えなければならない。その視点は、自国の利益だけでなく、国境を越えた共存、そして地球全体の持続可能性へと広がっていくはずだ。
「アメリカ国民優先」という言葉に、私たちは単なるアメリカの国内事情として片付けてしまうのではなく、それが示唆する「自己中心的な思考」の危うさを読み取るべきだろう。そして、私たち自身も、知らず知らずのうちにそのような思考に陥っていないか、常に自問自答する必要がある。真の解決策は、分断ではなく、連帯の中にこそ見出されるはずなのだから。
アメリカ国民を最優先に：ホワイトハウスが夏の主要トーク番組で見せた決意,The White House
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