楽しむなら「りんご味」、しかし本質を見失うなかれ
東京のIT企業が「りんご味」をテーマにしたイベントを来年夏に開催するというニュースが伝えられた。健康志向の高まりを受け、消費者の多様なニーズに応えようとする企業の努力は理解できる。しかし、安易に「りんご味」という分かりやすいキャッチフレーズに飛びつく前に、私たちはもう少し立ち止まって考える必要があるのではないか。
近年、社会全体で「手軽さ」「楽しさ」が過度に重視される傾向にある。食においても、かつては食材本来の味や季節感を大切にする風潮があった。しかし今では、インスタ映えするような派手な見た目や、人工的ながらも強く人を惹きつけるフレーバーが好まれるようになっている。今回の「りんご味」イベントも、そうした風潮の一端を表しているように思える。
確かに、「りんご味」は多くの人に親しまれる味であり、それを新たな形で提供することは一つのビジネスモデルとして成り立ちうるだろう。しかし、それ以上に私たちは、食べ物や文化の本質について、もっと深く考えるべきではないか。単に「りんご味」だから良い、というのではなく、なぜりんごが私たちの生活に根付いてきたのか、その栄養価や歴史的背景にまで思いを馳せることこそが、豊かな食文化を守り、次世代に繋いでいくことに繋がるはずだ。
もちろん、新しいものを取り入れる柔軟性も必要である。しかし、それは常に普遍的な価値観との両立があってこそ意味をなす。企業の創意工夫を否定するつもりはないが、私たち消費者も、情報に踊らされることなく、本質を見極める目を養う必要がある。
来年夏のイベントが、多くの人に「りんご味」の楽しさを提供する一方で、りんごという果実、ひいては食文化全体に対する新たな関心を呼び起こすことを願うばかりである。安易な「楽しさ」の追求に終始することなく、その奥にある本質を探求する姿勢を忘れないようにしたい。
ヨコハマをもっと楽しもう！「りんご味」の特別なチケットで特別なライブへ,横浜市
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