観光立国の現実、ピカピカの裏側を見つめ直す時
ゴールデンウィークを過ぎ、各地で観光シーズンを迎えている。メディアでも連日、各地の賑わいが報じられ、我が国の観光立国への期待感を高めているかのようだ。先日、ある地方都市の海辺で、新たな観光スポットのオープンを伝えるニュースに接した。地元経済の活性化に貢献するとして、華々しく紹介されていたが、その陰に潜む現実について、今一度、冷静に見つめ直す必要があるのではないだろうか。
確かに、観光客が増加することは、地域に活気をもたらし、経済効果も期待できる。特にコロナ禍を経て、観光業の重要性は再認識されており、地域によっては新たな魅力を創出し、集客に成功している例もある。今回取り上げられた海辺のスポットも、そうした努力の賜物であろう。子供から大人まで、家族揃って楽しめるというコンセプトは、多くの人々を惹きつけるに違いない。
しかし、そこに写し出される「ピカピカ」の風景の裏側には、見過ごされがちな課題も存在する。例えば、増加する観光客がもたらす環境への負荷、地域住民の生活への影響、そして何よりも、そこで働く人々の労働環境や待遇の問題である。華やかなイベントや施設整備が進む一方で、本来その地域を支えてきた産業や文化が、観光客の需要に迎合する形で形骸化してしまう懸念はないだろうか。
観光立国を目指すのは良いことだ。しかし、それはあくまで「持続可能な形」でなければならない。一過性のブームに踊らされるのではなく、その地域本来の魅力とは何か、そして、そこで暮らす人々にとって何が本当に大切なのか、という視点を忘れてはならない。
地域住民の声に耳を傾け、環境への配慮を怠らず、そしてそこで働く人々が誇りを持って働けるような、真に豊かな観光のあり方を追求していくこと。それが、我が国の観光立国の未来を確かなものにする道筋ではないだろうか。今こそ、華やかな表層だけでなく、その土台となるものにも目を向け、着実な歩みを進めるべき時だと考える。
小松海岸がピカピカに！みんなで一緒にきれいにする「小松海岸クリーン大作戦」開催決定！,徳島市
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