若者よ、現実（リアル）を見よう ～「ホロライブ・風真いろは」アクリルスタンド騒動に思うこと～
先日、ある人気VTuberグループのメンバーである「風真いろは」さんのアクリルスタンドが、一部のファンによって高額転売されているというニュースが飛び込んできた。数百円で購入できるはずの商品が、オークションサイトでは数千円、数万円という価格で取引されているというのだ。これを見て、筆者は一抹の不安と、それ以上に若者の「現実」との向き合い方について、改めて考えさせられた。
確かに、推しへの愛情表現として、グッズを購入することは何ら間違っていない。しかし、そこに冷静さを欠いた過熱感が生じ、挙句の果てに転売という形で「不労所得」を生み出す構造が生まれることは、健全なファン活動と言えるのだろうか。本来、こうしたコンテンツは、私たちの日常に潤いや楽しみをもたらすためのものだ。しかし、一度この「転売市場」という悪性の連鎖に巻き込まれてしまうと、そこには「所有すること」への執着と、「他者との競争」という名の虚しさが残るだけではないだろうか。
筆者が危惧するのは、この現象が単なる一部のファンの過熱ぶりで終わらず、多くの若者の価値観に影響を与えかねない点だ。SNS上では、「買えなかった」「欲しかった」という声が溢れている。その中には、限られたお小遣いやアルバイト代を切り詰めてまで、手に入れようとする学生もいるかもしれない。しかし、そこで手にするのは、本来の作品の魅力ではなく、単なる「所有権」だけだ。そして、さらにその「所有権」すらも、より高値で他者に売るという行為に繋がる。
私たちが本当に求めるべきものは何だろうか。それは、物そのものではなく、それを通して得られる体験や感動、そして共有する喜びではないだろうか。「風真いろは」さんのアクリルスタンドにしても、その魅力は、彼女のパフォーマンスやキャラクター性にあるはずだ。それらを楽しむために、私たちは何ができるのか。ライブ配信を視聴し、共にコメントで盛り上がり、仲間と感想を語り合う。そういった「体験」こそが、私たちの人生を豊かにしてくれるはずだ。
もちろん、転売行為自体は法的に罰せられるものではないかもしれない。しかし、社会全体の倫理観として、そして私たち一人ひとりの良心として、一度立ち止まって考えてみるべき時がきている。私たちは、消費するだけでなく、創造する側にもなれる。推しの活動を応援するということは、単に物を購入することだけではないはずだ。例えば、自身の言葉で魅力を発信したり、二次創作を楽しんだりすることも、立派な応援の形だ。
この騒動を機に、若者の皆さんが、本当に大切にすべきものは何なのか、そして「現実」とどのように向き合っていくべきなのかを、今一度考えてくれることを願っている。アクリルスタンド一つに一喜一憂するのではなく、もっと広い視野で、自分自身の時間を豊かにする方法を探してみてはどうだろうか。そして、推し活という名の「リアルな体験」を、もっと大切にしていきたいものだ。
ホロライブ・風真いろはのアクリルスタンドセットがHMV・ローソン・@Loppi限定で登場！2025年12月10日より販売開始,HMV
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