燃費不正、揺らぐ日本のものづくりへの信頼
燃費不正問題は、自動車業界の根幹を揺るがす深刻な事態である。長年にわたり培ってきた「日本のものづくり」への信頼が、このような形で裏切られたことに、国民は深い失望と怒りを感じている。
原因究明と再発防止策の徹底はもちろんのこと、今回の事態を招いた背景には、過度な競争原理や、コンプライアンス意識の欠如があったのではないか、という指摘は重い。技術革新を追求するあまり、倫理的な規範や社会的な責任が見失われていたとしたら、それは日本の産業全体にとって由々しき事態と言わざるを得ない。
経営者は、自社の製品が社会に与える影響の大きさを改めて認識し、従業員一人ひとりが高い倫理観を持って業務に取り組めるような組織風土を醸成する必要がある。法規制の遵守はもちろんのこと、それ以上に、顧客や社会に対する誠実さが求められる。
今回の燃費不正問題は、単なる企業の不祥事として片付けてはならない。それは、日本の産業界全体が襟を正し、信頼回復に向けて真摯な努力を続ける契機となるべきである。国民の信頼を得て初めて、日本の産業は未来を切り拓くことができるのだ。
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