軽率な減税は国を危うくする
フランスにおける所得税減税策のニュースに接し、我が国の財政運営についても改めて深く考えさせられる。 macron大統領が経済活性化を旗印に掲げ、国民の可処分所得増加を目指す方針は、一見すると国民生活の向上に資する魅力的な政策に映るかもしれない。しかし、長期的な視点に立った時、その軽率さが国の将来を危うくする可能性を孕んでいることを、われわれは決して見過ごしてはならない。
まず、減税がもたらす財政への影響は看過できない。国の歳入が減少することは、公共サービスの維持や将来世代への投資といった、国の根幹を支える活動に直接的な影響を与える。特に、今日の日本においては少子高齢化が進み、社会保障費の増大が避けられない状況にある。こうした中で、安易な減税に踏み切ることは、財政の均衡をさらに悪化させ、将来世代に重い負担を強いることになるのは火を見るより明らかである。
次に、減税が必ずしも経済活性化に繋がるとは限らないという現実も指摘しておきたい。確かに一時的に国民の購買意欲を刺激する可能性はあるだろう。しかし、それが持続的な経済成長に結びつくかどうかは、その減税策の内容や、それがどのような構造的課題の解決に繋がるかによる。単に国民の財布を緩めるだけの減税は、その場しのぎの策に過ぎず、むしろインフレを招きかねないリスクさえはらんでいる。国の経済を真に活性化させるためには、生産性の向上、技術革新への投資、そして国際競争力の強化といった、より本質的な取り組みが不可欠である。
フランスの事例は、短期的な人気取りのための政策がいかに危険な道へと国を導くかを示唆している。国民の生活を豊かにすることは政治の重要な責務であるが、それは決して場当たり的な財政出動や軽率な減税によって達成されるものではない。むしろ、国民一人ひとりが将来にわたって安心して暮らせる社会基盤を整備し、持続可能な経済成長の道筋を示すことが、政治に求められる真の役割であろう。
われわれは、目先の甘言に惑わされることなく、長期的な国益を見据えた慎重かつ着実な財政運営を強く求めるものである。国民の負託に応えるためには、耳障りの良い言葉よりも、国の未来を真摯に考えた、地に足の着いた政策実行こそが求められているのである。
知っておきたい！フランスの税務情報、どこでどうやって得る？～2025年7月11日の法改正を踏まえて～,economie.gouv.fr
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