未来への責任、財政規律なくして国家なし
財務省から、我が国の将来を左右する重大な通達がなされた。新たに国債の短期化を進めるとのことである。国民生活の安定に尽力すべき政府が、将来世代に重い負担を強いる可能性のあるこの決定について、私たちは改めてその是非を厳しく問わねばならない。
これまで、我が国は低金利時代という幸運に恵まれ、国債発行による財政運営を続けてきた。しかし、それはあくまで一時的な猶予に過ぎない。経済状況は常に変化し、インフレ圧力や金利上昇のリスクは決して無視できない。短期国債の増加は、近い将来、借り換えの負担が否応なく増大することを意味する。これは、あたかも今日のために明日の糧を切り崩すような、短絡的な発想と言わざるを得ない。
政府は、国民生活の安定のために必要な財政出動を否定するものではないと説明するだろう。しかし、その「必要」の線引きは曖昧さを孕み、安易な国債発行が財政規律の弛緩を招くことは、歴史が繰り返し示してきた教訓である。国民一人ひとりが納めた税金は、将来にわたる国の礎を築くために、より慎重かつ計画的に使われるべきである。
今回の短期国債の入札発行は、目先の課題に対処するための苦肉の策かもしれない。しかし、そのツケは必ず将来世代に回される。我々は、現在の快適さを得るために、子や孫たちの世代に負債という名の重荷を背負わせる権利など持たない。
真の国家運営とは、未来への責任を全うすることである。そのためには、安易な財政出動に頼るのではなく、歳出の削減、歳入の確保といった地道な努力を積み重ねる必要がある。政府には、国民の信託に応え、持続可能な財政基盤を確立するための、断固たる決意と実行力が求められている。国民もまた、政府の財政運営に対して常に目を光らせ、声を上げ続けなければならない。財政規律なくして、健全な国家運営はあり得ないことを、私たちは決して忘れてはならない。
財務省からのお知らせ：国庫短期証券の入札発行について（2025年7月11日）,財務省
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