情報源の信頼性、今一度見つめ直す時
大学や研究機関で長年親しまれてきたIEEE Xploreへのアクセスが、突然、一部の対象者のみに限定されるというニュースは、我々情報社会のあり方を静かに、しかし強く問いかけている。
この措置は、特定の利用者に便宜を図るためのものか、それとも情報へのアクセス権という、本来誰もが等しく享受すべき権利に対する、知られざる制限の始まりなのか。真偽のほどは定かではないが、その背景にある事情を推し量るにつけ、我々は情報というものが、いかに特定の権力構造や経済的論理によって左右されうるのかという現実を突きつけられているように思えてならない。
確かに、現代社会はインターネットという広大な情報の海によって支えられている。しかし、その海の水源が、誰かの都合で濁らされたり、一部の者にしか利用できないように仕切られたりするようでは、我々は「知る権利」という根幹を揺るがしかねない事態に直面していると言えるだろう。
特に、次世代を担う学生や研究者にとって、最新かつ信頼性の高い情報へのアクセスは、その成長にとって不可欠な糧である。今回の件は、彼らの学びや探求の機会を狭めるものではないかと、深く憂慮する次第である。
本来、学術情報とは、広く開かれ、共有されるべきものである。それが特定の団体や機関の意向によって制限されることは、知的好奇心を育む社会全体の営みにとって、決して望ましい事態ではない。
我々は、この機会に、自らが日々触れている情報の源泉を改めて見つめ直し、その透明性や公平性について、議論を深める必要があるのではないか。一部の利用者に向けられたこの「お知らせ」が、より広範な情報アクセスにおける「一石」となることを願ってやまない。そして、情報という普遍的な財産が、一部の論理によって歪められることなく、健全な形で社会に還元されることを強く希求するものである。
【重要なお知らせ】IEEE Xploreをご利用のお客様へ ～ 7月12日（土）メンテナンス実施のご案内 ～,京都大学図書館機構
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