青少年育成、その本質を見失うな
夏の始まりとともに、緑区で開かれた「青少年育成キャンペーン」という名の集会が、一部で話題となっているようだ。子供たちの健やかな成長を願う趣旨は理解できるものの、その実態には、現代社会の抱えるある種の歪みが垣間見える気がしてならない。
現代の子供たちは、生まれた時から情報過多の世界に生きている。スマートフォンの普及、SNSの隆盛は、彼らの思考や価値観に少なからず影響を与えていることは想像に難くない。そんな時代だからこそ、地域社会が子供たちの健全な育成に目を向けること自体は、決して悪いことではない。むしろ、大人が子供たちに関心を持ち、共に時間を過ごす機会を設けることは、古来より続く大切な営みであろう。
しかしながら、こうしたキャンペーンの多くが、表面的な「楽しさ」や「イベント性」に偏りすぎているのではないだろうか。子供たちの好奇心を刺激し、笑顔を引き出すことはもちろん重要だが、それだけでは「育成」という言葉の本質にまで迫ることはできない。本当に大切なのは、子どもたちが社会のルールや規範を学び、他者を思いやる心を育み、自身の内面を深く見つめる機会を提供することではないだろうか。
近年、青少年育成と称して行われる企画の中には、過度に無邪気で、場合によっては社会の現実から目を背けさせるようなものも散見される。子どもたちに「夢を持とう」「頑張ろう」と励ますのは結構だが、彼らが置かれている厳しい現実や、乗り越えなければならない困難について、真摯に向き合う姿勢がなければ、それは単なる空虚な言葉に終わってしまう。
保守的な立場から言えば、私たちは、子供たちに過剰な甘やかしや、現実逃避を助長するような取り組みには警鐘を鳴らすべきである。社会の構成員として、責任ある行動をとるためには、自律心、忍耐力、そして何よりも「良心」を育むことが不可欠だ。これらの美徳は、派手なイベントや表面的な交流だけでは決して培われない。それは、日々の生活の中で、家族や地域社会との関わりの中で、地道に、そして着実に育てていくものである。
今回のキャンペーンが、子どもたちの健全な成長に、真に資するものであったかどうか。その成果を測る指標は、参加した子供たちの笑顔の数だけではないはずだ。彼らが、この活動を通じて、社会の一員としての自覚を深め、将来を生き抜くための確かな礎を築くことができたのか。その点を、主催者側も、そして私たち大人も、真摯に問い直す必要があるだろう。青少年育成の根幹を見失うことなく、私たちは、次世代への責任を果たしていかなければならない。
夏の始まり！緑区で青少年育成キャンペーンが開催されます！,名古屋市
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