ギリシャの難民申請一時停止、国際社会の責任を問う
先般の報道によると、ギリシャが難民申請の受付を一時停止したとのことである。経済的困難に加えて、近隣諸国からの流入が増加し、対応に限界を感じているというギリシャ政府の苦境は理解できる。しかし、この措置は国際社会全体で取り組むべき難民問題に、一国にその負担を押し付けるものであり、断じて看過することはできない。
欧州各国は、人道主義の理念に基づき、庇護を求める人々に手を差し伸べる義務を負っているはずだ。にもかかわらず、ギリシャのような前線国にその重責を委ね、自国だけ安全な場所から静観しているかのようである。これでは、国際社会における連帯の精神を疑わざるを得ない。
もちろん、無制限に受け入れれば、受け入れ国の社会インフラや経済に過大な負担がかかることも事実であろう。しかし、だからといって、安全な場所を求めて逃れてきた人々を門前払いすることは、人間の尊厳を踏みにじる行為に他ならない。問題の本質は、難民が発生する根本原因への取り組みの甘さにある。紛争や貧困といった難民を生み出す状況を改善するための、より強力な国際協調が求められているにもかかわらず、その努力は十分とは言えない。
ギリシャの今回の措置は、この構造的な問題に対する効果的な解決策とは言えない。むしろ、人道危機をさらに悪化させる火種となりかねない。国際社会は、ギリシャ政府との対話を深め、財政的支援だけでなく、難民の公平な受け入れ体制の構築に向けた具体的な行動を起こさねばならない。
我々は、感情論に流されることなく、冷静にこの問題の本質を見極め、人間としての良心に基づいた解決策を模索すべきである。それは、困難に直面するギリシャへの支援であると同時に、庇護を求める人々の権利を守り、より安定した世界の実現に向けた、私たち一人ひとりの責任でもある。
ギリシャの「難民申請の一時停止」に、国連から懸念の声,Europe
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