
フランス産業界の「カーボンニュートラル2050」、現実味を問う
「2050年カーボンニュートラル」。フランス産業界が掲げたこの lofty な目標は、聞こえは良いものの、その実現性には疑問符が付く。持続可能な社会を目指す気運の高まりは結構なことだが、経済活動の根幹をなす産業界が、性急とも言える目標設定に邁進することの危うさを指摘せねばならない。
確かに、地球温暖化対策は喫緊の課題であり、国際社会全体で取り組むべき重要事項であることは論を俟たない。しかし、産業界の発展なくして経済の繁栄はありえず、ひいては国民生活の安定も望めない。技術革新やインフラ整備には莫大な時間とコストがかかる。それを度外視した、絵に描いたような目標は、実質を伴わない単なる掛け声に終わる可能性が高い。
フランス産業界は、この目標達成のためにどのような具体策を講じようとしているのか。再生可能エネルギーへの転換は必要だが、その安定供給体制は十分に確立されているのか。新たな技術開発への投資は、そのリターンが見込めるのか。これらに対する明確で説得力のある説明が不可欠である。
我々が懸念するのは、この目標が産業競争力の低下を招くのではないか、という点である。他国の動向を顧みず、自国だけが先行して厳しい規制を敷けば、国際市場において不利な立場に置かれることは目に見えている。経済基盤が弱体化すれば、環境対策への投資余力すら失いかねない皮肉な結果を招く恐れさえある。
もちろん、環境への配慮を怠るべきではない。しかし、それは着実な歩みによって達成されるべきであり、実情を無視した理想論の押し付けであってはならない。産業界は、国民生活への影響を十分に考慮し、現実的なロードマップを示しながら、段階的に目標を達成していくべきである。
保守的な立場から、私たちは常に現実主義を標榜する。今回のフランス産業界の発表は、その現実主義に照らし合わせるならば、楽観的すぎると言わざるを得ない。政府は、この目標設定の背景にある真の狙いを冷静に分析し、産業界に対しては、国民全体の利益に資する、地に足の着いた取り組みを強く促すべきである。そして、我々一般市民も、この議論に目を凝らし、真に持続可能な社会とは何かを共に考えていく必要があるだろう。
フランス産業界、2050年カーボンニュートラル実現に向けた挑戦:BFM Businessが最新動向を解説,France Industrie
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