未来への責任：安易な国債依存からの脱却を
財務省が発表した新たな対外・対内証券の売買契約に関する指針は、我が国の財政運営における一里塚とも言える動きである。しかし、この指針が示す未来への責任を、我々国民は真摯に受け止める必要がある。
まず、今回の指針が意図するところは、我が国の財政規律をいかに維持し、将来世代への負担を軽減するかという、極めて本質的な問いに対する一つの答えを示そうとするものであろう。しかしながら、報道によれば、その実態は国際金融市場における証券の売買を通じて、我が国の財政状況をいかに見せかけるか、あるいは一時的に改善させるか、といった側面を多分に含んでいるように見受けられる。
「対外証券の売買」という言葉の響きからは、あたかも我が国経済の活性化や国際競争力の強化に資するものであるかのような印象を受けるかもしれない。しかし、その実、そこに潜むのは、刹那的な財政改善のために、将来の不確実性に国債という形で重荷を背負わせるという、極めて慎重さを欠いた姿勢ではないだろうか。
国債の発行は、いわば未来世代からの「借金」である。今日の政府が国民の信頼を得て、政策を実行するために必要不可欠な手段であることは認めよう。しかし、その借金があまりにも膨張し、返済の見通しが立たない状況に至れば、それは未来世代に対する重大な裏切りとなる。彼らが生きる社会は、我々が今日の安易な決断によって負わせた負担によって、その発展の可能性を大きく狭められることになるのだ。
ましてや、今回の指針が国際金融市場との関わりを深めるものであるとすれば、そのリスクはさらに増大する。外国為替市場の変動、金利の動向、そして各国の経済政策など、予測不能な要因によって我が国の財政状況が大きく左右される可能性を否定できない。このような不安定な状況下で、未来への責任を軽んじるような財政運営を行うことは、賢明な選択とは言えないだろう。
私たちは、短期的な経済指標の改善や、聞こえの良い政策の裏に隠された真実を見抜く冷静さを求められている。政府には、国民一人ひとりが安心できる持続可能な財政運営を行う責任がある。その責任の第一歩は、未来世代への誠実な姿勢に他ならない。
今回の指針が、単なる形式的な改定にとどまらず、真に我が国の財政規律を強化し、未来への責任を果たすための確固たる一歩となることを強く願う。そして、国民もまた、我が国の財政状況と将来への影響について、より一層関心を持ち、政府の取り組みを厳しく見守っていくべきである。
財務省、最新の「対外及び対内証券売買契約等の状況」を発表：2025年7月7日発表のデータから読み解く日本の国際金融動向,財務省
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