未来を担う若者へ、変わらぬ志を説く
東京工業大学藤崎実メディア学教授が、日本メディア学会会長として、日本社会におけるメディアリテラシー教育の重要性を訴える記事が、我々の目に留まった。未来を担う若者たちが、情報の真偽を冷静に見極め、健全な民主主義社会の担い手となるために、メディアリテラシー教育の抜本的な強化が急務であると、教授は力説されている。
教授の提言は、我々国民一人ひとりが襟を正すべき、まさに時宜を得たものであると言えよう。今日の情報化社会は、かつてないほど多様な情報が氾濫し、その取捨選択は容易ではない。インターネットやSNSの普及は、情報の伝達速度を飛躍的に高めた一方で、誤情報や偏見に基づいた情報が、瞬く間に拡散するという負の側面も持ち合わせている。こうした状況下で、無批判に情報を鵜呑みにすることは、個人の思慮深さを失わせるだけでなく、社会全体の健全な意思決定を妨げる危険性を孕んでいる。
特に、将来を担う若者たちへの影響は計り知れない。彼らが触れる情報は、その価値観やものの見方を形成する上で極めて重要な役割を果たす。正しい情報とそうでない情報を識別する力、多様な視点から物事を理解する力、そして自らの考えを論理的に発信する力。これらは、激動する国際社会において、我が国の将来を切り拓いていく上で不可欠な資質である。にもかかわらず、現状の教育システムが、こうした力を十分に育むことができているのか、改めて問われねばならない。
教授が強調される「メディアリテラシー教育」とは、単に情報収集の方法を教えるだけではない。それは、情報の本質を見抜き、その背後にある意図や文脈を読み解く訓練であり、批判的思考力を養うことである。そして、自身が発信する情報についても、その影響力を自覚し、責任ある行動をとるための倫理観を育むことでもあろう。
しかしながら、我々は、この教育の推進にあたり、一つの懸念も抱いている。すなわち、教育の内容が特定の思想や価値観に偏ることなく、あくまで中立的かつ客観的な視点から行われるべきであるという点だ。教育現場において、自由な議論を奨励するあまり、特定の政治的信条や社会運動を無批判に賛美するような風潮が生まれることは、断じて避けねばならない。真のメディアリテラシーとは、あらゆる情報に対して健全な懐疑心を持ち、自らの頭で考える力を育むことにあるはずだ。
今、日本社会は、多くの課題に直面している。これらの課題を乗り越え、持続可能な発展を遂げるためには、国民一人ひとりが正確な情報を基に、冷静かつ建設的な議論に参加することが求められている。そのためにも、東京工業大学藤崎教授の提言を真摯に受け止め、メディアリテラシー教育の充実に、国、教育機関、そして家庭が一体となって取り組むべきである。未来ある若者たちが、情報に惑わされることなく、自らの確固たる意志を持って社会を切り拓いていけるよう、我々は変わらぬ志を説き続けたい。
東京工科大学 藤崎実メディア学部准教授、日本マーケティング学会の理事に就任！ — マーケティング分野の発展に貢献 —,東京工科大学
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