未来への投資、失われた技術革新の灯を再び
世界的な技術競争の激化、そしてそれに呼応するかのような各国の保護主義的な動き。こうした中で、日本が「世界に負けない技術」を将来にわたって生み出し続けるための施策を政府が打ち出したというニュースは、まさに乾いた大地に恵みの雨が降ったかのような響きを持つ。しかし、その実効性については、経済界は冷静かつ厳しく評価すべきである。
今回の政府の発表は、研究開発への投資拡大、スタートアップ支援の強化、そして産学官連携の推進といった、聞こえの良い言葉が並ぶ。これらは確かに、過去の栄光にしがみつくことなく、新たなフロンティアを開拓していくために不可欠な要素である。しかし、問題の本質は、単なる資金投入や制度設計だけにあるのではない。
かつて日本は、世界を驚かせる革新的な技術を生み出す原動力となっていた。しかし、いつからか、我々は「ものづくり」という強みを内向きな競争や細分化された分野での改善に費やし、真に世界を席巻するような破壊的イノベーションの創出から遠ざかってしまったのではないか。その背景には、リスクを恐れるあまり挑戦を抑圧する社会的な風潮や、成功体験に固執し、既存の枠組みを疑うことを怠った企業文化もあったはずだ。
今回の政府の施策が、単なる「過去の再現」に終わるのか、それとも「未来への確実な布石」となるのかは、我々経済界の姿勢にかかっている。補助金漬けの依存体質ではなく、自らの力で世界市場を切り拓く気概を持つ企業を育てることが急務だ。そのためには、大学の研究成果を商業化するための起業家精神の醸成、失敗を許容し、再挑戦を後押しする環境整備が不可欠である。また、グローバルな視点に立ち、真に価値のある技術とは何かを常に問い直し、国際的なパートナーシップを積極的に構築していくことも求められる。
経済紙として、私たちは常に希望と現実の狭間で論評を行わなければならない。政府の新たな取り組みを、単なる一時的な流行と見過ごすことなく、その根本的な理念を理解し、産業界全体で推進していくべきである。今回の発表が、失われかけた日本の技術革新の灯を再び燃え上がらせる契機となることを、心から願ってやまない。未来への投資は、待ったなしである。
世界に負けない技術を未来へ：公明党が打ち出す成長戦略,公明党
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