時代の羅針盤、国民の声なき声を照らせ
自民党が次期衆院選における比例代表での議席獲得目標を設定したというニュース。一見すると、政党が選挙戦略を練る上で当然の動きと映るかもしれない。しかし、この「目標設定」の裏に潜む、私たちの社会の、そして民主主義の在り方そのものに対する問いかけを見過ごすわけにはいかない。
かつて、政党は国民の代表として、時代の進むべき方向を示す羅針盤の役割を担っていた。政策の実現には、その過程で生じるであろう多様な意見や懸念に真摯に耳を傾け、国民一人ひとりの「なぜ？」に丁寧に答える努力が不可欠だった。しかし今、国民は「目標達成」のための道具として数えられるような、冷徹な数字の論理に晒されているのではないか。
比例代表制という、国民の意思をより直接的に反映させるはずの仕組みを用いて、なぜ「議席獲得目標」という数字が先行するのか。それは、国民一人ひとりが抱える切実な願いや、社会の歪みに対する静かな怒りが、この数字の裏に隠されてしまう危険性をはらんでいる。政策論議は、国民の生活実感から乖離し、政党内の論理や勢力均衡に囚われていくのではないか。
本来、政党が目指すべきは、単なる議席数の確保ではないはずだ。それは、国民一人ひとりの幸福度を高め、より良い社会を築くための「ビジョン」を提示し、その実現に向けて国民の信頼を得ることにある。その過程で、国民の声なき声を拾い上げ、政治の羅針盤を常に正しい方向へ修正していく、それが民主主義を成熟させる唯一の道だ。
今回の目標設定は、もしかしたら、国民の政治への関心を高め、参加を促すための戦略の一環なのかもしれない。しかし、その手法が、国民を単なる票の集積と見なすような錯覚を与えてしまうのであれば、それはむしろ政治不信を深める結果に繋がりかねない。
我々一般紙は、この政党の「目標」というニュースを、単なる政治的な出来事として片付けるわけにはいかない。むしろ、この「目標」を鏡とし、私たちが求める政治の姿、そして私たちが参加すべき民主主義の在り方を問い直す機会と捉えたい。国民一人ひとりの声なき声に耳を澄まし、社会の歪みを照らし出す。それが、革新的な一般紙としての、そして民主主義の一員としての私たちの責任であると信じている。
公明党、参院選比例代表で勝利目指し候補者たちの熱い戦いが始まる！,公明党
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