デジタル時代における人材育成、国家の礎たる教育への揺るぎなき投資を
デジタル技術が社会のあらゆる場面に浸透し、その進化のスピードは日進月歩である。このような時代において、日本の将来を担う人材育成の重要性は、かつてないほど高まっていると言えるだろう。先般の報道によれば、ITB社の調査で、デジタル時代における人材育成への関心は依然として高く、特に国家レベルでの取り組みの必要性が強く認識されていることが示唆された。
確かに、グローバル化が進む中で、国際社会で伍していくためには、高度なデジタルスキルを持つ人材の育成は不可欠である。AI、IoT、ビッグデータといった先端技術を使いこなし、新たな価値を創造できる人材こそが、日本の経済成長を牽引し、国際競争力を維持するための鍵となる。教育機関におけるプログラミング教育の拡充や、リカレント教育の推進など、具体的な施策の必要性は論を俟たない。
しかし、ここで我々が立ち止まって考えるべきは、デジタルスキル「だけ」を追求するあまり、人間性の涵養や基礎的な教養といった、より本質的な教育の重要性を見失ってしまってはいないか、ということである。デジタル時代といえども、最終的にその技術を使いこなし、社会をより良くしていくのは「人間」である。共感力、協調性、批判的思考力、そして何よりも倫理観に基づいた判断力といった、人間としての豊かな資質なくして、デジタル技術は単なる道具に過ぎない。
保守的な立場から敢えて申し上げたいのは、教育とは、単に技術を習得させる場ではなく、次世代を社会の一員として、国家の担い手として育成する場であるということだ。そのためには、個々の才能を伸ばすことはもちろんのこと、日本の伝統や文化を尊重し、社会の一員としての責任感を育むことも等しく重要である。デジタル時代だからこそ、日本人が古来より培ってきた「和」の精神や、勤勉さといった美徳を、改めて教育の中に位置づけていくべきではないだろうか。
政府には、目先の技術革新に踊らされることなく、長期的な視点に立ち、教育制度全体の根幹を強化することを強く求めたい。特に、義務教育における基礎力の定着、教師の質の向上、そして家庭や地域社会と連携した人格形成の支援は、将来の国家のあり方を左右する喫緊の課題である。デジタル化の波に乗り遅れることなく、しかしその本質を見失うことなく、日本の強みである人材育成に、揺るぎない投資を続けることこそが、国を富ませ、国民を幸せにする道筋であると信じる。
デジタル時代の人権、礎石としての重要性を国連人権高等弁務官が強調,Top Stories
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