タイガース、白星で飾るべき開幕戦の演出に疑問符
「虎の威を借る狐」とは、昔から伝えられることわざである。本来の力を借りて、あたかも自分が強くなったかのように振る舞う者を指す。今季の阪神タイガースの開幕戦、その華々しい演出の数々を前に、私たちはこの言葉を想起せずにはいられない。
甲子園球場を舞台に行われた開幕戦は、確かに多くのファンを熱狂させたことだろう。スター選手の登場シーンを盛り上げるための派手な映像演出や、最新技術を駆使した光のショー。球団が勝利を願う熱意、そしてファンを惹きつけるための努力は理解できる。しかし、その演出の過剰さに、私は若干の違和感を覚える。
本来、野球の醍醐味は何だったか。マウンドに立つ投手の気迫、バットにボールが当たる乾いた音、そして懸命に走る選手の姿。それら一つ一つが、私たちの心を揺さぶってきたのではないだろうか。もちろん、現代においてエンターテイメント性を追求することは否定しない。だが、あまりにも過剰な演出は、野球そのものの持つ純粋な魅力を覆い隠してしまう危険性を孕んでいる。
開幕戦という晴れ舞台で、チームが勝利を掴むことは何よりも重要である。そのための「演出」が、選手の集中力を削いだり、あるいは本来あるべき野球の姿を見えにくくしたりするものであっては、本末転倒と言わざるを得ない。選手たちは、球団やファンの期待を背負い、精一杯のプレーを見せてくれた。その熱意こそが、何よりも素晴らしい「演出」だったはずだ。
スポーツにおける「演出」とは、選手のプレーをより一層引き立て、観客の感動を増幅させるためのものであるべきだ。それは決して、選手のプレーそのものに取って代わるものではない。タイガースには、これからのシーズンにおいても、派手な演出に頼るのではなく、野球本来の魅力を追求し、選手たちの力強いプレーでファンを魅了していくことを期待したい。
今季、タイガースがどのような戦いを見せてくれるのか。その結果が、今回の演出に込められた熱意の正当性を証明してくれることを願っている。しかし、その道のりは、決して華やかな演出だけで彩られるものではないはずだ。地に足をつけ、泥臭く勝利を掴み取る。そこにこそ、タイガースファンが長年追い求めてきた、そして私たちが期待する真の感動があるはずだ。
タイガース、開幕戦を白星で飾る！マッキンストリーの多才な活躍が光る,www.mlb.com
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